引越し回数およそ10回!海外生活の醍醐味は

── ちょっと安心しました!これまで国内外問わずいろいろな場所に住んでいましたね。

 

中村さん:結婚後、まずは埼玉県、ドイツのアウクスブルグ、ケルン、ベルリン、そこからトルコ、またドイツに帰ってきてシュトゥットガルト、千葉県、タイのブリーラム、バンコク、そして今は群馬県に住んでいます。

 

── ものすごい引越しの回数です。海外生活はいかがでしたか。

 

中村さん:食が好きというのが活きて、海外では知らない食材に出会うのが楽しかったです。「何これ?」と思うものを買ってみて、調べてから生で食べたり茹でてみたりいろいろしてみました。ドイツではゴボウに似ている食材を見つけて、ゴボウの代用にしていましたし、現地でドイツ食材を使った和食の料理教室を開いていました。

 

ドイツで主催していた料理教室の様子

タイでは南国ならではの、これまで見たことがないような食材がたくさんありました。美味しいものから不味いものまでひと通り(笑)。母が遊びに来たときに一緒に食材探しをしたのですが、大きなバナナの花が売っているのでそれを煮てみたこともありました。ひとくち食べてみたら、えぐみしか残らなくて(笑)。失敗もしつつ、楽しんでいました。

 

タイのブリーラムは家の前を牛が通っているくらい田舎町なのですが、アジアなのでスーパーに行くと日本のものがあるんです。お醤油や味噌、カレー粉、みりんなどもあって、食材も日本と似ているものが多かったです。

 

周りからは「ブリーラムは生活が大変そうだね」とよく言われていたんですが、食材が手に入りにくいドイツでの生活経験があったので「全然!なんでもいっぱいあるよ」と思っていました。移籍先が、田舎から都会に行く順番だったので、生活にだんだん慣れていけたのも良かったと思います。

 

── お話を伺っていて、何事も楽しむ姿勢が伝わってきます。

 

中村さん:どこの国に行くにも自分の気の持ちようで全然違うと思うんです。基本的に私は夫についていく身で、夫には毎日仕事がありますが、こちらはすることが急になくなります。タイはビザの関係で私は働くことができませんでした。

 

日本で生活していると、することが多すぎて案外時間がないんです。気軽に友達とも会えますしね。でもあるとき、海外にいる特権でこんなに時間を持てているんだということに気づいてからは何事も楽しもうとスイッチを切り替えました。

 

最初に海外に行ったとき、周りの方から「大丈夫?」と聞かれることが多かったんです。やっぱり日本に帰りたいという人は多いからって。海外生活でこれもできない、あれもできないと考えてしまうと負のスパイラルになってしまうので、今しかできないことを楽しむようにしていました。

 

PROFILE 中村明花さん

中村明花さん

1986年千葉県生まれ。モデル、料理研究家。プロサッカー選手の細貝萌と結婚し、ドイツ、トルコ、タイと約9年間海外で暮らす。2016年に女児を出産。雑誌「Mart」のモデルとしてライフスタイルを提案。著書に、『ビギナーでも1献立40分以内でおいしく作れる100レシピ 夫婦のきずなごはん』、『1回のお買い物で 3日献立 夫婦のきずなごはん』(ともにKADOKAWA)。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/中村明花