心のパートナーがいなくなって

── 大病をするとパートナーのありがたさに気がつくとも言われます。吉川さんは過去に2回離婚を経験していますが、そのあたりも伺っていいですか?

 

吉川さん:私はやっぱりひとりでいるほうがラクなんです。結婚をすると、時間の使い方が変わりますよね。今までは24時間自分の時間だったものが、夫と共有して、一個一個決めていかないといけない。私は仕事に専念したいタイプで、優先順位はやっぱり仕事なんです。私みたいに自分がやりたいことがハッキリしている人は、たぶん結婚は難しいと思います。

 

ただ、誤解しないでほしいのは、結婚していないからといって不幸せってわけではない。それ以外の幸せはいっぱい得ていますから。それにパートナーというのは、何も人間じゃないといけないわけではないですからね。

 

── と言うと?

 

吉川さん:私の魂のパートナーは猫です。ある日、運命の出会いがあったんです。

 

── ぜひ、聞かせてください!

 

吉川さん:私は子どものころから犬や猫に囲まれて育ちました。でも報道アナウンサーの仕事は不規則だし、生き物は飼えないと諦めていました。でも25年近く前に、自宅マンションの前で私を見つめて可愛らしい声で鳴いている茶色のトラ猫と出会ったんです。思わず抱っこしたら嫌がらずに甘えてきました。その瞬間、これは運命の出会いだと感じました。

 

動物禁止のマンションに住んでいたので、飼うことはできない。でも、この日以降、私が帰宅すると、猫がマンション前で待っていてくれるようになりました。だから抱っこして部屋に入れ、一緒に寝て、明け方になると猫が外に出たいと「ニャー」と鳴いて出ていくということを繰り返しました。

 

── それはもう、飼っているといえるでしょうね。

 

吉川さん:そうですよね。夜を共に過ごし、朝方にはどこかに行ってしまうのは、まるで「源氏物語」の光源氏のようで、名前はゲンに。でもマンションの規約違反なので、ゲンをちゃんと飼うために引っ越して、完全室内飼いにしました。ゲンは22歳まで長生きして、大往生しました。