イタリアのカフェに入ったとき、小さなデミタスカップに入ったエスプレッソを楽しむ人をよく見かけました。カフェのカウンターでエスプレッソを飲む姿は、なんとなく「通」な印象を抱かせます。とはいえ、コーヒー初心者の人にとって、エスプレッソはハードルの高い存在。そこで今回は、バリスタの私がエスプレッソの苦味の魅力と、美味しい飲み方をご紹介します。

20〜30ml程度のエスプレッソは提供されたらすぐに味わうべし

エスプレッソマシンで圧力をかけて抽出するエスプレッソは、「急行」や「急速」を意味する英語「express」が語源と言われています。コーヒー豆の種類やマシンによっても異なりますが、20〜30秒で抽出され、抽出量は20〜30ml程度。2、3口でサッと飲みきってしまえることから、この名前がつけられたそうです。

 

エスプレッソマシーンのイメージ(PIXTA)

エスプレッソは抽出した瞬間から酸化が進み、時間の経過とともに酸味や雑味を強く感じるようになります。エスプレッソをお湯で割るアメリカーノや、ミルクを使うカフェラテはゆっくり飲んでもおいしく味わえますが、シンプルなエスプレッソは、提供されたらなるべく早めにいただきましょう。おしゃべりに夢中になっているあいだに酸化が進み、冷めてしまうと、とても残念な味わいになってしまいます。

 

また、エスプレッソの美味しさはアロマ、クレマ、ボディの3要素で構成されます。「アロマ」は芳香、「クレマ」は液面に浮かぶきめ細かい泡、「ボディ」はコクと深みのある旨みを意味しています。この3つのが織りなす味わいと口当たりを堪能してみてください。

 

エスプレッソの液面に浮かぶヘーゼルナッツカラーの泡が「クレマ」(PIXTA)