司法試験の予備校に通い始めた矢先に…

「当時はロースクールに通わなくても司法試験が受けられたので、特別支援学級で働きながら、渋谷にある司法試験予備校に通い始めたんです。そうしたら、その後すぐに妊娠したことがわかって。司法試験どころではなくなりました」

 

3人のお子さんに恵まれ、育休と復職を繰り返しながら家庭と仕事の両立を続けているうちに8年が経ち、気づけば生井さんは36歳を迎えていました。

 

授業をする教師時代の生井さん(生井さん提供)

「3人目の出産を無事に終えたので、習い事でもはじめようと思い調べていたんです。そうしたら、たまたま夜間ロースクールを見つけて。これなら仕事を辞めずに済むので、今からでも司法試験にチャレンジできるかもと思ったんです。心のどこかで、いつかはもう一回チャレンジしたいという思いがずっとあったのかもしれません」

働きながら夜間に学校に通う生活が4年間続き

2017年に夜間ロースクールに入学。午後5時過ぎに職場を出て、6時20分からの授業を受ける日々が始まります。その間、3児の育児はどうしていたのでしょう?

 

「ロースクールに通う平日2〜3日と土曜日は夫が子どもたちを見てくれました。子どもは当時、年少、小学校1年生と4年生。夜、自分が家にいないことに罪悪感もありました。

 

夫は、私のやることには決して反対しない人だったので、応援してくれていたのですが、夜間のロースクールを修了するまでに4年間かかりましたから、とても大変だったと思います」

 

そうした家族のサポートのおかげもあり、生井さんは二度目の司法試験で無事に合格を果たします。

 

司法試験の合格証書を手に微笑む生井さん

「司法試験もそうですが、周囲の支えがなければロースクールはとても修了できなかったと思います。他のメンバーと『レポートの期限いつまでだよ』と励まし合って、挫折せずになんとかやり遂げることができました。働きながらロースクールに通う、同年代の方たちとの交流もおもしろく、励みになったんだと思います」

 

当時は小学校の主幹教諭を勤めていた生井さん。どうしてそこまでして、弁護士を目指し続けることができたのでしょうか。

 

「当時、学校のいじめや保護者とのトラブルを弁護士の立場で解決したり、助言したりする『スクールロイヤー』の必要性が世間で求められるようになってきていました。これなら、教員のキャリアを活かしながら、大学時代から目指していた職業につけるんじゃないかと思えたことが大きかったです」