この子たちは、将来どんな大人になるんだろう
── そのような心境に変化した経緯は。
加藤さん:子どもが生まれてからです。たとえば長女が、お友達の家へ遊びに行きたいと言ったとします。親としては「まだ小さいから1人では行けないよ。小学生になったら行けるかもね」と、止めるわけです。
「そうか。小さいと親がいないとできないことが多いんだ」と感じたときに、ブラザートムさんの言葉を思い出しました。大人になれば本人の意思で好きなようにできるんだなって。
自分の時間を持てるようになったのも、好影響を与えてくれていると思います。仕事だけに時間を割いていたときは、「目標とする女優さんは?」と聞かれても思い浮かばないし、いまを精一杯生きるだけで、次を考えられなかったんです。
でも子どもが生まれてからは、「この子たちは将来、どんな大人になるんだろう」と想像すると同時に、子どもが大きくなるとか巣立った後の自分の未来を考えるようになって。未来のイメージをしやすくなりました。
── では加藤さんが今後、仕事で叶えたい夢はありますか。
加藤さん:出産してからお芝居に携わっていないので、母親役を演じたいです。子育てが芸の肥やしとなり、引き出しになっているでしょうから、ようやく自信を持って演じられると思うので。
子どもが生まれるまでは精神的に幼かったですし、子役の俳優さんとどうやって接していいのか、とまどうこともあったんです。いまならわが子と重ね合わせて見ることもできるので、心地いいペースで俳優業も再開していきたいですね。
PROFILE 加藤夏希さん
女優。1985年生まれ。1999年にデビュー後、ファッションモデルやドラマ、映画、CM、バラエティ番組など多方面で活躍。3児の母。
取材・文/内埜さくら 写真提供/加藤夏希