課題をテクノロジーで解決したい

── 写真や動画の共有のほかにもサービスを拡張させているのはなぜですか。

 

白岩さん:
リリースから7年経ちますが、立ち上げ当時、赤ちゃんだった利用者のお子さんも小学生になるとまた違った困りごとが出てきます。

 

フォトアルバムの領域からは飛躍しているのですが、問題をテクノロジーで解決したいという想いから、子どもの位置情報をGPSで把握できる「みてねみまもりGPS」を2021年に発売しました。ありがたいことに好評をいただいており、2023年3月には第三世代となる新モデルを発売する予定です。

 

いつでもアプリで子どもの居場所がわかる「みてねみまもりGPS」は小型端末もカラフルなラインナップ

今年は、園児の通園バスでの悲しい事件や、お子様の行方不明事件など、心が痛む事件が相次ぎ、居場所のみまもりやSOS連絡のニーズが高まっていました。これを受け、新モデルに「お知らせボタン」を追加しようと急ピッチで開発を行いました。「お知らせボタン」を押すと、家族のスマホに通知が届く仕組みです。

 

小学生のお子様はもちろん、未就学児のお子様にもご利用いただき、より安心して毎日を過ごせるサポートができればとても嬉しいです。

 

このほかにも自宅にお医者さんが来てくれる「みてねコールドクター」は、コールドクター社と提携してサービスを提供しています。最短30分で医師が自宅に向かい、お薬も処方してくれるほか、24時間365日、オンライン診療にも対応しています。自宅でPCR検査も可能です。

 

医療分野への挑戦は初めてだったものの、コロナ禍もあって、お子さんがいると病院に行くのも大変という利用者の課題を解決していこうという考えのもと提携が始まりました。

 

── 海外での展開もされているそうですね。

 

白岩さん:
現在、7言語、175の国と地域でサービスを展開していますが、海外での利用者は全体の3割を占めています。

 

海外市場では子どもの写真に関するプライバシーやセキュリティ意識の高さが、国内以上にあります。肖像権やプライバシーの観点から、親が子どもの写真をSNSで公表することに対してはより議論が進んでいますし、家族だけでクローズドに写真や動画を共有できる「みてね」(海外ではFamilyAlbum)は重宝されているようです。

 

──「みてね」が大切にしている価値観について教えてください。

 

白岩さん:
“世界中の家族のこころのインフラを作る”という「みてね」のミッションを常に意識しているのですが、家族というものは多くの方にとって基盤となるもので、安心できる場所であると思います。

 

子どもにとってもそういう場所があると、成長を見守って認めてもらえる存在であることを感じられ、自分は愛されていると自信が持てるようになると思います。

 

テクノロジーを使って家族の課題を解決して、喜びや幸せを広げながら心を繋げていく場所を作るということを意識して、これからもサービスや企画を考えていきたいと思っています。

 

PROFILE  白岩優子さん

2001年から検索エンジンマーケティングに従事、2005年からミクシィ(現MIXI)に入社。SEM全般やユーザーリサーチを経験したのち、出産・育休を機にリリース直後だった「家族アルバム みてね」に参画。現在、みてね事業部マーケティンググループのマネージャー。

取材・文/内橋明日香 写真提供/MIXI