浮気心を“本当の浮気”に変えないために妻は…
じつはナナさん夫婦は社内結婚。彼女は妊娠を機に退職しましたが、当時の仲良しがいまも会社にいます。
それとなく情報収集をすると、「そういえばナナの旦那さん、気に入っていた派遣の子が辞めたみたい」という言葉を聞き出すことに成功しました。
「“やっぱりね”と思ったので、『半分、失恋気分なんじゃないの?』と夫に言うと、また夫は目を泳がせて。友人によればなかなか美人だったそうです」
誰かを気にする心の動きは、夫婦といえども止めることはできません。まして実際に浮気したわけでもないので、責める筋合いでもなさそう。
「抑止力として、ときどき『パパは女の人にすぐデレデレするよねえ』などと、9歳の娘に吹き込んで言わせたりしています。
娘に言われると、夫も怒れない。気を緩めるといつ、“浮気心”が“本当の浮気”になるかわかりませんから」
ナナさんの両親は父親の浮気で離婚しました。だからこそ、転ばぬ先の杖が大事だと、彼女が真顔でつぶやきました。
文/亀山早苗 イラスト/前山三都里