フル装備でくつろぐ息子

不審者の正体がわからない不安はありつつも、深夜でもあるので、とにかく家に戻った義父母と私(娘はぐっすり寝ていました)。

 

居間に戻った3人を出迎えたのは、思いがけない光景でした。

 

そこには、アーミーグリーンのジャケットに防弾ベスト、フルフェイスのヘルメットを装備し、手には1メートルほどもあるマシンガンを手にした…高校生の息子が、格好だけは完全に臨戦体制で、居間でくつろいでいたのです。

 

あっけにとられる大人3人に、「あ、もう不審者どっか行ったの?」と拍子抜けした様子の息子。

 

息子と夫は、以前からサバイバルゲーム(専用のフィールドでエアガンを使いプラスチック弾を撃ち合う遊び)に大ハマりしているのです。

 

倉庫代わりになっている息子の自室には大小さまざまなエアガンをはじめ、ゴーグルやマスク、衣類に至るまであらゆる装備品が揃っています。

 

そのなかでも特に防御力が強そうなものを身につけ、見た目にいちばんいかつい武器(マシンガン)を手にして不審者を威圧しようとしていた息子…その心意気は立派です。ですが、

 

「そこまで装備するなら外に出てきなよ!!」と思わず叫んだのは私。

 

「いや、万が一踏み込まれたときのために家を守ってたんだよ」という息子の台詞は本心なのか、ただの臆病なのか….。

 

いや、もし不審者がまだうろついていたとしても、子どもを矢面に立たせるつもりはもちろんないのですが、しかし後期高齢者の義父が木刀を持って戻ってきた先に、万全の装備の兵士(風の人間)が居間でくつろいでいるのは、あまりにシュールな眺めでした。

防犯カメラ導入のきっかけに

結局、数か月たった今でも、不審者の正体はわからないままです。やはり怖いので、早々にモーションセンサーつきの監視カメラを門扉付近に取りつけることになりました。

 

これからのわが家の生活を思うと、高齢者だけが家にいることも多く、防犯カメラを導入するきっかけになったのはむしろ良かったのかもしれません。

 

一抹の不安をかき消すことができぬまま、よりいっそう防犯には気をつけていかなければな…と気を引き締めなおす日々です。

 

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ