得手不得手や成長の違いは誰にでも
── 美良生くんの障がいがわかってから、すぐに前向きになれたのですか?
奥山さん:私と夫はやはりショックがあり、受け入れるまでは時間がかかりました。
ただ、まわりと比べても苦しむだけで、意味がないことがわかってからはラクになりました。
私が作る夕飯についても、「他のママだったら5品は出てくるのに」と比べられたら、困ります(笑)。
一般のお子さんでも、得意なこと不得意なことがありますし、ダウン症の子どもでも成長の速度や、できることできないことはまったく違います。
美良生のペースに合わせて見守り、ダウン症は彼の特徴や個性のひとつだと考えるようにしました。
兄弟ゲンカは一度もない!
── 小さいころと比べ、空良くんと美良生くんの関係に変化はありましたか?
奥山さん:ふたりは10歳近く離れていることもあって、空良は私たち親の立場に近い存在で、弟の面倒をよくみてくれましたね。
兄弟ゲンカは1度もしたことがありません。
空良に弟がダウン症だと伝えたときには、同級生に同様の子がいて、どういう障がいかを理解できたので泣きましたが、ひと晩たったらいつもの空良でした。
気持ちを持ち直せた理由を聞いたら、「ダウン症があっても弟は弟であることに変わりはないと思ったから、これからも僕は美良生と遊ぶよ」と言ってくれたんです。
美良生のダウン症のことを、私がブログで公表するときにも相談しましたが、発達がゆっくりということは「かわいい期間が長いので、それを自慢できる」と前向きにとらえてくれました。
私は彼の境地にいたるまで、3年くらいかかりました。子どもの方がよほど、本質をつかむ力に長けていると思います。
最後は長男が背中を押してくれた
── 美良生くんのダウン症を公表することに葛藤はありましたか?
奥山さん:そうですね。成長の過程がゆっくりで、一般の子どもとは違うことがわかるので、途中からブログで書きにくくなりました。
仕事にも影響があるかもしれないと悩み、夫や事務所にも相談しましたが、最終的には長男が背中を押してくれました。
「こんなにかわいい子のことを公表しないのはおかしいよ」と言ってくれたんです。
ダウン症の子が思っていたより、“普通”であることも知ってもらいたかったので、公表することにしました。