── SNSとはどう向き合っていくのがいいと思いますか。

 

大木さん:
SNSと完全に離れることは無理だと思うので、関わっていく方針やスタンスを自分で決めていくことが必要だと思っています。

 

私もSNSで活動を広げてもらった身なのですが、今も賛否両論、いろいろな意見をいただきますし、信頼していた方から手のひらを返すような仕打ちをされたこともありました。

 

ある時、私の尊敬する女優さんが真顔でおっしゃっていたのですが、「Twitterで数千人をフォローしているけど、特定の数人以外、すべてミュートにして非表示にしている」と。

 

それを聞いて、徹底しているなと思いました。でも自分のメンタルを守るためにはこのくらい必要なんだと思うんです。心の健康を守る大切さは20代で知ったので、罪悪感を感じることなく、皆さんにも徹底して心の健康を守ってほしいですね。

 

インターネットは、文字で簡単に人のことを殴れる世界ですので、過信してはいけないと思っています。

 

── 人生に悩んでいる女性に伝えたいことはありますか。

 

大木さん:
「自分だけにしかできない使命を見つけて欲しい」ということです。私自身も10代の頃から大人に夢を持ちなさいと言われてきましたが、夢ってすごく漠然としていてなんの保証もありません。

 

たとえば大スターになりたいと言ったところで、30代、40代の女性がこれからなることはすごく難しいですよね。

 

でも人はその、夢を経由して使命に辿り着くものだと思うんです。夢ではなく使命はその人にしかできないことで、誰にでもひとつはあると思っています。自分の好きなことを貫いて欲しいなって。


「こんなこと言うの、恥ずかしい」と思っていることもいざ発信してみると、自分を縛り付ける”鎧”が脱げて気楽になったり、他人に興味を持ってもらえたりして、人生が豊かになっていくと思います。

 

── これから取り組んでいきたいことはなんでしょうか。

 

大木さん:
保証も何もない人生になってしまった恐怖はありますが、書くことは自分の使命だから大丈夫な気がしているんです。

 

今は毎日、朝起きた瞬間に「幸せだ」と思って生きています。困ることはあるかもしれないけれど、人を頼る大切さも、自己開示をする大切さも、こんな私にも共感してくださる温かい女性がたくさんいるということにも気づけました。

 

現在は小説家として、それを自分ごとだけではなく小説に落とし込んで、フィクションの世界で主人公たちに落としていきたいと思って日々、奮闘しています。

 

PROFILE 大木亜希子さん

2005年、ドラマ「野ブタ。をプロデュース」でデビュー。その後、SDN48として活動開始。卒業後、15年にWebメディア入社。18年、独立。著書に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(宝島社)、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)、『シナプス』(講談社)。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/大木亜希子 写真撮影/松本慎一