互いの両親から猛反対も…結婚して出産すると

高田さんの妊娠がわかったのは23歳のときでした。当然、結婚して出産するつもりでしたが、予想外にも、双方の両親から猛反対されます。

 

「私の両親の反対する理由はふたつありました。ひとつは陸上を始めて間もなかったため、中途半端に辞めるのかということ。

 

もうひとつは、彼の両親も同意見でしたが、万が一、子どもが障がいを持っていたら、私たちに育てられるのかということでした。

 

私も彼も“障がいを言い訳にするな、自立しなさい”と育てられてきました。だから、まさか反対されると思わず、びっくりしました。

 

いま考えれば、両親は私を育てるのに大変な思いをしてきたのでしょう。その経験があったからこそ、心配だったんだと思います。

 

でも、当時は母から“子どもの耳が聞こえなかった場合、目の見えないあなたに育児はムリ”と言われたのにカチンときて。

 

“絶対やりきってやる”と反対を押しきって結婚。男の子を出産しました」

 

東京パラリンピックには100mと走り幅跳びの2種目で出場

猛反対されたとはいえ、父親は「自分たちは家族。本当に難しかったら手伝うから」とかばってくれました。

 

「その言葉に支えられました。生まれた赤ちゃんは目も見えて耳も聞こえていて。私も安心しました」

 

一時は絶縁状態だった母親も、産後は1か月間、泊まり込みで手伝ってくれることに。親子のわだかまりは自然に溶けていきました。