累計10億本以上を出荷し、九州では絶大な知名度を誇るアイスクリーム「ブラックモンブラン」。カリカリのクランチがまぶしてある商品を50年以上作り続ける「竹下製菓」(佐賀県)の5代目社長を務めるのは、41歳の竹下真由さんです。3児の母親だからこその視点で、製造工程や社員の労務管理も変えてきました。
お互いさまの精神でしなやかな組織を
「うちの会社は従業員が約80人。そのうち約半数が女性で、子育てとの両立をはかる人たちがいます。
それだけでなく、男女問わず介護や農作業などを抱えている人たちもいます。
私自身の経験からも、仕事と家を両立できるのは、家族や会社のサポートがあってこそですよね。
だから、そのときの事情を考慮しながら 、“お互いさま”の精神でそれぞれがフォローし合い柔軟に対応する、そんなしなやかな勤務体制を整えていくことを心がけています」
プライベートでは、2012年に第1子を出産、翌年、翌々年と続けて子どもが誕生した竹下さん。
「だからこそ、子育て世代の悩みもリアルに感じることができるので、できる限りハッピーな方向で解決していきたいですね」
有給休暇を時間単位で
「たとえば、ゴールデンウィークなど幼稚園・保育園が休みのときに、どうしても預け場所がなくて困っているママの声を聞き、実験的に社内託児所を設けました。
また、他の社員への遠慮から、利用されにくかった時短勤務制度も改善しました。
育休明けの女性社員とじっくりと話し合いを重ねて、漠然とあった不安や遠慮をひとつずつ解消。
それぞれの状況に合わせて、働きやすい時間で時短制度を利用してもらっています」
他にも、従業員の子どもの授業参観や学校行事なども大事にしているのが竹下流。
「子どもが授業や行事に参加する姿を見学できるのは、子育てでもほんの一時期しかありません。
子どもたちも、お母さんやお父さんに見に来てもらえるのをきっと楽しみにしていると思います。
そこで、うちでは時間単位で有給休暇も取ることができて、子どもの習い事の送迎や少しの時間で済む用事など、いろいろと利用してくれています。
仕事があるから行けない、ではなくて、できる限り行けるように調整ができる環境づくりを常に念頭に置いています」
最近は、結婚や妊娠出産の相談を持ちかけられることも多くなったという竹下さん。
「せっかく竹下製菓を選んでくれたので、ずっと幸せに働き続けてもらいたいと思っています。
実際には、就業規則だけでは対応しきれないこともあるので、そんなときはお互いに話し合いをしつつ、よりよい形で働けるように個別対応をしています」