お子さんたちと公園で遊ぶ竹下真由社長
お子さんたちと公園で遊ぶ竹下社長

“ワクワク感”や“幸せ感”が子どもに伝わるように

竹下さんの3人のお子さんも元気よく小学校に通っているそうですが、自身の経験が社員への待遇に活きているようです。

 

「子どもが小さいころは、高熱で保育園に行けない日が続き、副社長の夫や両親と手分けして看病し、子どもが寝ついてから仕事に大急ぎで戻った日もありました。

 

それ以外にも、学校行事や子どもの体調不良、最近では学級閉鎖や突然の送迎など、突発的なことが日々、起こるものですよね」

 

社長になってからは会食や出張なども増え、家を空けることも多くなったそう。

 

「どうしても子どもとの時間が少ない分、休日はできる限り仕事を入れず、子どもたちと遊ぶようにしています。

 

近くの川でずぶ濡れになりながら遊んだり、1日中遊べる広くて緑豊かな公園が多いので、ピクニック気分でお弁当を持って出かけたり。

 

子どもができてから、自分の子ども時代には当たり前だった佐賀の自然豊かな環境も、ありがたく感じるようになりましたね。

 

他にも、少しでも時間ができたら趣味のスノーボードやスキューバダイビングを。

 

子どもたちとの遊びにつき合うように、というよりも自分自身が、めいっぱい楽しんでいます(笑)。

 

子どもがやりたがる習い事も、一緒にできるものは私も一緒にします。先日は子どもと、和菓子作り体験もさせてもらいました。

 

これが、もう楽しくて!このワクワク感、幸せ感が子どもにも伝わっているといいなあと思います」

 

ブラックモンブランの工場前での竹下由美社長
ブラックモンブランの工場前で

「当たり棒のために」AI機器を導入

この“ワクワク感”は、竹下製菓の経営理念「おいしい、楽しい商品をつくって社会に奉仕する」にも通じます。

 

竹下製菓の看板商品であるブラックモンブランとミルクックには、発売当初からアイスの棒に「当たりクジ」が焼き印されています。

 

楽しさへのこだわりから、この焼き印のデザインを毎年変更することも社長の仕事のひとつ。

 

「このクジも続けるかどうか議題に上がったことはありましたが、楽しみにしてくださっているお客さまのためにも、絶対にやめてはいけないことになりました。

 

そこで、当たり棒がアイスに正確に指さっているかをAIで画像判断する最新機械を工場に導入しました。

 

今までも細心の注意で検品していましたが、まれに棒が逆に指さり、袋を開けた瞬間に“ああっ、クジの結果が…(涙)”なんてことがありましたから。

 

楽しみを売る商売だからこそ、お客さまをがっかりさせてはいけないと、取り入れました」

 

社長就任前の新商品開発室長時代には、このワクワク精神で次々とヒット新商品を連発。

 

「まずは手にとってもらえないと」と、「これで朝食アイス」「昔の恋人味」などネーミングもひとひねり。

 

「アイデアが生まれるには、まずインプットをたくさんすることだと思うんです。興味のないことでも機会を見つけてひと通り試してみたり、東京出張した際には必ずデパ地下に寄って最先端の甘いものチェックをしたり。

 

少しでも時間ができたら、いろいろな場所に足を運び、旅先の独自の食文化を食べてみるなど、意識的に新しい風や視点を自分に送り込むようにしています」