「私って存在が薄いんだ」と衝撃を受けた体験
── サックスの前に始めた楽器はありましたか。
平原さん:
3歳の頃からピアノを習っていました。全然練習はしなかったのですが、耳は良かったようで、先生が弾いた音を聞いて指も覚えてそのまま弾いて。とても褒められました。ちょっと変わった子でしたね。
高校の音楽科に入学してからはサックスを専攻し、副科はピアノだったので、かなり練習しました。デビューしてからは、サックスだけでなくピアノで作曲を行ったり、レコーディングで実際に弾いたりと、あのとき練習しておいてよかったなと思う瞬間がたくさんあります。
── ほかにも習い事はしていましたか。
平原さん:
特に根性を鍛えられたのはクラシックバレエです。これは姉がしていたのでいつの間にか教室にいた感じだったのですが、小学校1年生から高校2年生まで続けました。いちばん続いた習い事でしたね。
今でも覚えているエピソードがあるのですが…。
私はいつもブルーのレオタードを着ていました。引っ込み思案なので友達からも話しかけられないまま、レッスンを始めて2か月くらいして、レオタードの色をピンクっぽい色に変えたんです。教室に入ったら「この子、誰?」という雰囲気になって。
「私って、色が変わったくらいで忘れられるくらい、存在が薄いんだ」って思いました。今はこうして皆さんに覚えてもらえていますけど(笑)。
── 子どもながらにショックな出来事ですね。
平原さん:
子どものときにこうでも、未来はどうなるかわからないですね。私がそうだったので、引っ込み思案な子でも絶対に表現したいことはあると思いますよ。甥っ子がすごくシャイなのですが、心の中ではいろいろアイデアを持っているみたいで。自分を見ているようで、すごくよくわかります。
このほかにも、スイミングスクールも8年続けました。週2で通って、あとは塾にも行って、そろばんも習って。バレエも週3回でしたが、発表会があると週5になって。子どもながらに分刻みのスケジュールで忙しかったです。
── “超”がつくほどの多忙さです。
平原さん:
あの頃の日々があったから、「Jupiter」でデビューした後も、その忙しさにパニックになることはありませんでした。経験してきたことが今の活動にすべて役立っています。
クラシックバレエのレッスンはかなりハードですが、諦めない心が身につきました。スイミングは肺活量がつきます。私は肺が強いのですが、それはスイミングで鍛えられたからだと思っています。