自分を変えるのは自分しかいない
── 学校生活はいかがでしたか。
平原さん:
引っ込み思案の性格のままではいけないと思っていたので、自分を変えたいと必死でした。小学校でも「班長をしなくちゃ」とか、小学校6年生の学芸会でアヤという役があったんですが「アヤはあーや(平原さん)がしなくちゃいけない」って勝手な使命感を持って立候補して。
社会に出て苦労するなら、今のうちにしておこうと思って、学級委員長や生徒会長に立候補したこともありました。生徒会長は姉がしていたので、「私も」という気持ちになったのですが、早い段階から人前に出る経験を積めたのは良かったです。
習い事も、役職に立候補したものも、自分を変えるのは自分しかいないと思っていて、常に自分を奮い立たせていましたね。
── 子どもの頃のお話を伺っているように感じないほど、しっかりされていますね。
平原さん:
人一倍、使命感が強くありました。「私は音楽家になって、父の音楽を継いでいかなきゃならない」と勝手に思っていたんです。でもこういう性格だから、そのためには自分を変えなくちゃならないって。
親からは「音楽家になりなさい」といっさい言われたことはないのですが、ちょっとずつ人前に出る場面を自分でつくっていきました。
実は、デビューしてからも歌うのは恥ずかしかったんです。だから、「今はサックスを吹いているんだ」と思って歌っていました。歌は習っていないという不安感があったのですが、大学でずっと専攻していた、サックスならわかっているぞと思って。
歌に関しては姉が最初に始めたのですが、姉がもし歌っていなかったら私は歌手になっていなかったかもしれません。家族が道標になってくれて、今の自分がいるのだと思います。
PROFILE 平原綾香さん
2003年『Jupiter』でデビュー。日本レコード大賞新人賞、日本ゴールドディスク大賞特別賞、レコード大賞優秀アルバム賞などを受賞。2015年「平原綾香 Jupiter 基金」設立。ラグビーW杯2019開幕戦で国歌⻫唱を務める。今年6月には新曲『キミへ』を含むアルバム『想い出がラブレター』をリリース。ミュージカルにも多数出演。最近は中国のバーチャル歌手、洛天依とコラボし中国語で歌唱している。
取材・文/内橋明日香 写真提供/Office MAMA. 撮影(プロフィール写真)/Kazumi Kurigami