大学時代の先輩の勧めで「大学教員」に
── 2019年に大学准教授にもなられたとお聞きしました。
青木さん:
ええ、染めの体験教室もしていて、こんな染めるという楽しいことをみんな知らないなんてもったいないと思ったんです。そして、簡単な草木染なら、家でも手軽にできるんです。
だから、染色技術をオープンにして、体験教室を始めたんですけど、やっているうちに、大学の先生もワークショップにきて面白がってくれて。理系の学生に染色を説明したりしているうちに、京都造形芸術大学の非常勤講師に2009年になる話がきて、そこから非常勤でやっていました。
また、自分が40代後半になると、大学時代の同級生が企業で働いた後に大学教員になったケースも結構あるんですね。
私が本当にしたいことは、平安時代の染色を研究したいのが本音なんですね。そんな話を2018年ごろ大学の先輩とかと飲んでいたときに話したら「大学教員になって研究費をもらったら良いじゃないか」と言われたんです。「非常勤では無理だけど、教育研究機関の専任職員になったらできるよ」と言われまして。
周囲に「情報あれば教えて」と言っていたら、2019年京都光華女子大学准教授の募集の情報が入って申し込んで、決まったんです。
2021年から科研費を申請して、研究させてもらっています。今は月から金が大学、土日でtezomeyaに関わっています。
それに、去年から私自身、大学院生もしているんです。私は学士しか持っていないので、博士を取ろうと大学院にも通っています。映画が学割で見られて良いですよ。
── ここまで歩んできて、どうお感じになっていますか。
青木さん:
環境と人に恵まれていると思います。私は本来は根暗でいいかげんで怠惰な人だけど、周りの方が状況をつくってくれて、やらせてもらっているなと思います。
人生は基本ノリ、勢いのあるときに動けるかが重要
── 転職しようとしている人へのご助言があればお伺いできますか。
青木さん:
基本、人生はノリだと思っているので、勢いのあるときに動けるかが重要だと思っています。
しっかり考える必要があるけど、風が吹いていたり、乗っていると感じるときは迷わずそれに乗って、後のことは、あまり考えないほうがいいと思います。
その都度、真剣にやっておくと、その経験は残っていて、5年後、10年後に関係ないことが繋がったりするので、前のことをくよくよしている暇があれば、今やれることをやったらいいと思います。
私自身、順調ではないんですよ。一流大を出て、一流企業を出て、独立して、大学教員になって、順調に見えるかもしれないけど、本当に環境と人に恵まれたと思っていて、ラッキーだったと思います。でもそのラッキーを引き当てたのも自分なので、頑張ったなと思いたいですね。