「給料ってすごいありがたい」

── 苦労したことはどんなことでしょう。

 

青木さん:
お金ですね。リーマンショックのときとか、みなさんTシャツを買う余裕がなかったときは店の経営が危なかったので。でも、その後にテレビの取材が入って、息を吹きかえすことができました。

 

ただ、大学の准教授になった直後にコロナ禍になりました。このときは大学教員の収入がなかったら、店は厳しかったと思います。本当にいろんな縁に恵まれています。

 

今、20年ぶりに大学から給与がもらえて、本当にありがたいと思っています。企業とか学校とか組織ってすごいと思いますね。辛酸を舐めてからそういう安定した場にいくと、帰属意識が高まります。大学のために貢献したいです(笑)。人生何があるかわからないですね。

 

染めをしている青木さんの様子。体力勝負の仕事でもあるそう

── これからはどうしていきたいですか。

 

青木さん:
今ありがたいことにやるべきこと、やりたいことがあるので、波に乗っていると思っているんです。本も2冊出させていただきました。店は店長とスタッフが切り盛りしてくれています。でも年齢の衰えは感じていて、僕の染めの技は筋力もいるので、ノリに任せて生きていけるのは70歳までだなと感じているんです。そのあいだにどこまでできるかを考えています。


取材・文/天野佳代子 写真提供/tezomeya