豚の表情が「幸せそう」と高評価

── 具体的にどのようなことをしていったのでしょうか。

 

宮治さん:
まず、予定通り、バーベキューを始めたんです。当時、異業種交流会で知り合った人などをリスト化すると約850人のリストができました。メールを一斉に送ってバーベキューの案内をすると、最初は30人、次第に60人ほどがバーベキューに来てくれるようになりました。

 

今も冬場以外は開催していて、いつも満席です。そこでうちの豚を味わってもらい、口コミで評判を拡げました。

 

ただ、安いままでは収益が出ないので、商品をブランド化するために2006年9月には「株式会社みやじ豚」を立ち上げました。

 

大人気のバーベキュー会場。いつもすぐ満席に

バーベキューの参加者が口コミで「美味しい」と飲食店などに話してくれるようになりました。今は法人化して17年ほど経ちますが、約110店舗の飲食店で取り扱ってもらっています。

 

── みやじ豚の価値を高めるために、そのほかどのような工夫をされたのでしょう。

 

宮治さん:
豚舎の見学を実施しました。豚舎見学はできないところが多かったのですが、実施したことで、飲食店の方が豚舎を見にきてくれました。

 

「通常、豚舎は臭くて汚いけれど、ここはきれいで、豚が幸せそうな表情で暮らしている。とてもいい環境で育っている」と認めてくれました。みなさんにみやじ豚をよく知っていただくことに繋がり、価値を高めていきました。

 

豚の表情がいいと評判に!

── 今現在、売上は起業時と比べてどれぐらいなのでしょうか。

 

宮治さん:
父の個人事業の頃と比べると、売上は7倍になりました。頭数は倍くらいになっていますが、それでも日本平均の半分くらいの頭数しかいません。ブランド化して直販できるようになったことで売上が変わりました

 

養豚業の世界では、どんどん規模拡大するのが一般的です。その際、神奈川の生産者は他県に出ます。神奈川県は住宅地なども近く、規模を今以上に大きくできません。とはいえ、「湘南みやじ豚」と銘打っていることもあり、他県に出てまで規模を大きくしたいとは思わなかったんです。