── 趣味としての文具の世界は、むしろ広がっている印象があります。

 

高畑さん:
そうですね。日本ほど文具の新商品が次々と発売される国はほかにありません。

 

世界では、デジタル化によって文具への興味は失われているように見えます。そのなかでここまで手書きツールを発達させ続ける日本はある意味“ガラパゴス”とも言えますが、古くから書くことにこだわりを持ち続けてきたからこそ、嗜好品としての文具が進化を続けているのだとも考えられます。

 

万年筆などのペンが好きな人もいれば、“インク沼”もある。かわいいノートや便箋などの紙モノ好きの人も多いですね。

 

人生を楽しむための文具は、これからも多様化して深まっていくと思います。

 

これからも、歴史や科学の視点を持って、文具を追いかけていきたいですね。

 

PROFILE 高畑正幸さん

文房具情報サイト「文具のとびら」編集長。テレビ東京「TVチャンピオン」で1999年、2001年、2005年に開催された「文房具通選手権」で3連続優勝し、「文具王」と呼ばれる。文具メーカーで商品企画、マーケターを務めた後、同社とプロ契約。「文具のとびら」やYoutubeなどのメディアで文具情報を発信し、各種イベントを主催する。

材・文/林優子 写真提供/高畑正幸