コロナ禍が出店をあと押し

観光大国トルコは、コロナ禍の影響で観光客が減少しました。トルコ大使館によると、トルコを訪れた外国人観光客の数は、2019年の5200万人から、2021年には3000万人にまで減ったそうです。

 

「コロナ禍の影響はまだ残っていますが、さまざまな規制が解除されたため、今年は4700万人の外国人観光客を見込んでいます。ただ、日本の方の動きは慎重で、2019年には10万人の日本人観光客がトルコを訪れましたが、今年は2万人ほどにとどまる見込みです」(トルコ大使館 文化広報参事官室 担当者)

 

コロナ禍や円安の影響で海外旅行を自粛する動きがあるなか、気軽に旅行気分を味わえることもバクラヴァが人気を集める理由だと考えられています。

 

トルコ産のピスタチオやクルミをふんだんに使ったバクラヴァにはさまざまな種類がある

「コロナ禍で、自由に旅行へ行けない状況が続き、海外のお菓子を求める方が増えました。そうした状況のなかで積極的にヨーロッパや東南アジアなどの海外商品を取り扱いましたが、なかでもバクラヴァへのニーズが極めて高くありました。

 

松屋のお客様にも過去にトルコ旅行へ行かれたことのある方が多く、ポップアップ開催時には懐かしがって購入されている方がたくさんいらっしゃいました」(松屋銀座 担当バイヤー)

 

初の海外進出先として日本を選んだ理由について「カラキョイ・ギュルオール」6代目のムラット・ギュルさんはこう話します。

 

「創業以来、長い歴史のなかで私たちは多くの政治的および経済的危機に直面してきました。これらの困難を克服できた理由は、我々が⾧期的な計画を立てていたことにあります。

 

今回も同様に日本に出店することは、非常に⾧期的な計画と戦略の結果であり、始まりでもあります。

 

日本とトルコでは共通して食文化が深く、また仕事に対する考え方が似ています。私たちは180年以上にわたってバクラヴァを作り続けていますが、今もなお、常に技術や味わいを向上できるよう努力を続けています。

 

そういった専門性を突き詰める考え方は、日本の職人文化と通じるところがあると考えております。そこに魅力を感じ、お互いに尊重しあえると思い、日本への出店を決めました」(カラキョイ・ギュルオール6代目 ムラット・ギュルさん)