「ずっと子どもを笑顔にする仕事がしたかった」と話すのは、元テレビ東京アナウンサーの原田修佑さん。小さな子どものかわいらしい動画に、スポーツ実況のテクニックで解説を添えた「実況ベイビー」(@jikkyo_baby)が多くのファンを獲得。現在も「うちの子にも実況を!」と多数の依頼が寄せられています。今だから明かせる「実況ベイビー」を始めた理由など、お話を聞きました。
「子育てを前向きにできるように」の一心で
── 多くの反響を呼んだ「実況ベイビー」は、コロナ禍に実況スキルを活かす取り組みとして、始められたそうですね。
原田さん:
感染防止策でスポーツイベントの中止が重なり、個人の活動として何かできないかを考えました。そのとき子ども時代から持っていた「子どもの将来を照らす仕事をしたい」という夢を思い出して、小さいお子さんの動画に実況をつけるアイデアが思い浮かんだんです。
ただ、それだけじゃなく「実況ベイビー」を始めたころには明かせなかった理由もあって。当時は出産前だったので取材では伏せていましたが、妻が妊娠中でした。それで育児について調べていくうち、「何かできることはないか?」と考えた面も大きかったですね。
── 奥様が無事に出産されるまでは…というお気持ちで、伏せていたのですね。どういった情報から、「何かできないか」と考えたのでしょう?
原田さん:
僕は子どもが好きなので、世の中には育児に対してネガティブなニュースが多いことにショックを受けました。産後うつで自殺してしまうお母さんがいたり、虐待があったり。子どもは尊いものだと思っているけれど、「子どもが理由で悲しい思いをする人もいる」という現実に大きなショックを受けたんです。
妻や僕自身も子育てをする当事者で、確かに子どもはかわいいだけじゃなく、育児には大変なことがたくさんあります。その大変さが報われるような、育児を前向きに楽しめるコンテンツやプロダクトを作りたいと思いました。子育てをポジティブにエンタメ化することを考えたとき、自分にできるのは“子どものかわいい姿に色を添える実況だ”と。