子どものお金や病気…心配事は未来の話まで

「しかも妻は心配性で、先々のことまで気にしているんです」

 

子どもたちは「中学までは地元」でと決めていますが、高校は私立になる可能性もあります。

 

そのときどのくらいお金がかかるのか、自分たちの老後の費用はどうなるのか。はたまた、「あなたが病気になったら…」と、将来についてもひどく心配しています。

 

「なるようにしかならない、というのが僕の本音。一応の目安として収入はこんな感じで、だから今の貯金額を変えずに、このあたりで少し投資に回してみようかとか、説明はしています。

 

妻の不安を一掃するところまではいかないけれど、僕が仕事を続けている限り、なんとかなると思うんですよね。

 

すると妻は、『10年後にお互いの両親が元気とは限らないわよねえ』と。ふたりともひとりっ子なので心配はわかるけど、今を楽しみたいと僕は思っています」

 

“あなたはのんきでいいわね”といつも言われると、キョウスケさんは苦笑します。ただ、心配しながら日々を過ごすより、いまを楽しく過ごしたほうがいいのは自明の理。

 

「妻はあらゆる不安を僕にその場で解決してほしいみたいなんですが、先のことなど誰にもわからない。そう言うと、突き放されたような気持ちになるみたいですね」

 

今現在、子どもたちは元気で楽しいと話すキョウスケさん。下の子は将来、「絶対に僕はウルトラマンになるよ」と言われることも。

 

「僕はそれを聞くだけで今日も楽しい、いい日だと思っちゃう。でも妻は『この子が大学に入るころのうちの家計は…』と考えているわけですよね。損しているなと思うんです」

 

どちらの言うことにも一理あるのかもしれません。ただ、ふたりが対極にいるので、お互いが相手の言い分を「心配しすぎで大げさ」「ノーテンキすぎる」と思ってしまうのでしょう。

 

ただ、妻が優しい性格であることをわかっているキョウスケさん、最後には「なるべく妻の不安を突き放さず、受け止めたいとは思っています」と笑顔を見せてくれました。

 


文/亀山早苗 イラスト/前山三都里