大人も約束はきちんと守ってあげて
学校へ行きたがらない子どもに対し、「半日だけ行こう」「1時間だけ頑張ろう」などと約束させることもあるかと思います。そのとき、気をつけてほしいことがひとつあります。それは「大人も約束を守る」ということです。
「午前中行けたなら、午後も行っておいでよ」
「1時間行けたんだから、次の授業も行っておいで」
などとつい言ってしまいがちですが、これは約束とは違いますね。せっかく目標を持って「半日だからがんばれる」と気力をふり絞って行ったのに、「午後も行っておいで」と言われてしまうと、大人の言うことが信用できなくなってしまうこともあります。まずは「半日行った!」という頑張りを認めてほしいです。
相談者さんは声かけをして登校を促しているようですが、ご友人から「むりやり登校させるのはNG」と言われた、とのこと。そこを気にされているようですが、必ずしもNGと断定はできません。子どもにもよりますし、タイミングにもよります。ただ、子どもを否定するような声かけはNGです。
なんとなく自分からは学校へ行きづらいけど、後ろから背中を押してくれれば行けるよ、というくらいの行き渋りレベルのタイミングでしたら、登校を促したほうがいいケースもあります。
相談者さんの場合、「お母さん、学校まで車で送ってあげるけど、それだったら行く?」くらいのプッシュはアリですね。逆にこのタイミングで「じゃあ休んでいいよ」と答えてしまうのはもったいない気もします。とはいえ、引きずって連れて行くほどの「むりやり」はNGです。
ゆっくりあせらず、これらのことを参考にお子さんの気持ちに寄り添ってあげてみてくださいね。
PROFILE 八木経弥さん
やぎ・えみ。臨床心理士/公認心理師。心療内科や児童相談所、スクールカウンセラーなどの勤務経験のもと、開業カウンセラーとしても活動中。仕事では心理学を活用した育児の方法などを伝えている。2人の娘の母。
取材・文/大楽眞衣子 イラスト/まゆか!