刺激的な番組だった「とくダネ!」

──「めざましテレビ」卒業後は、同じ情報番組ではありますが、テイストがガラリと違う「情報プレゼンター とくダネ!」を担当されました。

 

中野さん:
最初は正直、戸惑いました。「めざましテレビ」は基本、台本があって何時何分にトレンド情報、何時何分に芸能ネタ、と時間で決まっているのですが、「とくダネ!」にはほとんど台本がないんです。

 

どんな内容を放送するかの項目はあるのですが、そのネタを何分にするかは小倉さんの裁量にかかっていて。例えば、スタジオでコメンテーターの方とある話題で盛り上がっていたら20分でも30分でも続ける。

 

フジテレビ退職後、6年間生活していたシンガポールで長男を抱っこする中野さん

それに、「めざましテレビ」ではこの話題は誰が話すか、それぞれ担当の場所に名前のハンコが押してあるんですが、「とくダネ!」にはそれはなくて。極端な話ですが、自分が黙っていたら2時間そのまま終わってしまうかもしれません。

 

どこで発言したらいいのか、小倉さんを遮ってまで入るべきなのかと悩んだ時期もありました。番組を3年半くらい担当させてもらったのですが、ずっとタイミングがわからないままで、実は自分のなかでは今でも反省点ばかりなんです。

 

小倉さんは、音楽からニュース、ありとあらゆることに詳しく発言できる方で、そこに自分が入っていいものかと…。私の前に担当されていた先輩の佐々木恭子さんはすごくスムーズに進められていたので、改めて恭子さんの偉大さに気づかされました。

 

── 小倉さんから何か言われたことはありますか。

 

中野さん:
きっと私の性格を知っていてのことだと思いますが、「中野がどんな発言をしても、俺が受け止めるから」と言ってくださったのは印象に残っています。

 

── かっこいいですね!

 

中野さん:
そうなんです!すごくかっこいい!と思いました。「めざましテレビから来たから、まったく違って大変だと思う」と気づかってくださって。

 

小倉さんは寡黙な方ですが、男らしくどっしり構えていて、お父さんのようでした。脱線しても元に戻してくれる方がいるのは本当に心強かったです。小倉さんも生放送ならではのハプニングを楽しんでいて、とても刺激的な番組でした。

 

広島県の蒲鉾店を訪れる中野さん。シンガポールから帰国後は、広島県に3年弱住んでいた