カメラを向けると女優になる

「私たちがつらいと思い、当たってしまうとおばちゃんも警戒して、暗くなるので、なるべくおばあちゃんの言動を否定せずに、明るく接するようにしています。

 

おばあちゃんはカメラを向けると、女優になるんですよ(笑)。

 

化粧も自分でしますし、おいしいものが食べられるのではないかと張りきりますね」

 

それでも認知症の介護は、きれい事だけではすみません。

 

バラを持つと笑顔になった認知症ポジティブおばあちゃん
バラを持つと笑顔になったおばあちゃん

ひと晩中、家を行ったり来たり

「YouTubeには写っていませんが、認知症特有の行動に、息子である夫が特に怒ってしまう場面もありますね。

 

1階におばあちゃんの部屋、2階に私たちの部屋があるのですが、1階から1日に100回くらい呼ばれることもあります。

 

家のセキュリティも異常に気にします。鍵はかかっているのか、ガスの元栓は閉まっているのかとひと晩中、家を行ったり来たりします。

 

食事をしたことも忘れるので、管理が大変です。1日に何回も食べてしまうので、食べすぎや甘いものを減らすのに毎日、注意してます」


そんなおばあちゃんの動画での定番ネタは、実家のかばん店でかばんやネクタイを売っていた話。

 

「おばあちゃんは島根県松江市出身ですが、かばんやネクタイを売っていたのは、20歳ころまでの話で、それから先の仕事の記憶はほとんどなくなっているんです」

 

70年以上前、パッチリおめめが印象的な学生時代の認知症ポジティブおばあちゃん
70年以上前、パッチリおめめが印象的な制服姿のおばあちゃん