大ヒット絵本『しろくまのパンツ』や『パンダ銭湯』など50冊ほどの絵本を次々と世に出しているtupera tuperaさん(亀山達矢さんと中川敦子さん)。ユニット結成から20年を迎えたおふたりに、絵本づくりの原点をお聞きしました。

 

亀山達矢さんと中川敦子さん

お客さんのひと言で絵本作りの道へ

── お二人が絵本を作るきっかけは何だったのでしょうか。

 

tupera tupera(亀山さん):
僕らは美大の予備校で知り合い、大学は別でしたが、予備校からの友人やお互いの大学の友人や先輩など、アートに対する思いが熱く、イベントや展示会を開催するなどアクティブな環境の中で刺激を受け、振り返るとそこでいろんなことを吸収できたなあと思います。

 

卒業後は、僕はバイトをしながら絵を描き続けていたのですが、テキスタイルデザインを美大で専攻していた中川は、ファッションブランドのアシスタントをしたり、自分で布雑貨を作って、展示販売をしていたんです。

 

tupera tupera(中川さん):
ある場所で展示会をやってみないか?という依頼を私がもらった時に、亀山の絵を縫い込んだ作品を作ったら面白いんじゃないかと思って誘ったのが、二人で制作を始めるスタートになりました。それに対して反応が良く、その後も何度か二人で展示会を続けていたら、お客さんから「絵本を作っていないんですか?」と聞かれて。物語性を感じるような布雑貨だったので、絵本も手がけていると思ったのかもしれません。

 

お客さんのひと言から絵本に興味を持ち始め、他にもいくつかのきっかけが重なり、自費出版で絵本を作ってみようということになりました。それがジャバラ型の絵本『木がずらり』です。現在はブロンズ新社から出版されています。

 

初の絵本「木がずらり」は自費出版。現在はブロンズ新社で再版されている

tupera tupera(亀山さん):
当時は、文章に苦手意識があったこともあり、ストーリー重視の絵本ではなく、飾って楽しめるような絵本にしようと考えました。絵に添えられた言葉を読みながらページをめくっていくと、いろんな木があらわれて季節がめぐっていきます。ジャバラを広げて屏風のように立てたら、そこに並木道が広がるような絵本です。

 

僕たちにとってこの絵本は、それからのtupera tuperaの原点になるような「遊び心」を形にした作品だと思っています。