2分間の生放送で「放送事故レベル」入社2年目の失敗
── 西山さんは、今まで失敗したなぁ、これは辛いなぁと思うようなことはありますか?
西山さん:ありますよ!とくに新人の頃とか、入社5年目くらいまでは、1週間くらいずっと落ち込むなんてことも、よくありましたよ。
── たとえばどんな失敗でしょうか?
西山さん:入社して2年経った頃だったと思います。当時はプロ野球のナイター中継をゴールデンタイムに放送していて。夜7時から7時2分まで速報を伝えていました。
基本的には用意された原稿を読めばいいのですが、その間に巨人の桑田投手が『カキーン!!』と強烈なタイムリーヒットを打ったんです。そのまま、あれよあれよという間にランナーが2人帰ってきて。
今だったら、そんな予想外のことが起きてもなんとかなるのでしょうけれど、当時は驚いて「あ…」と言ったまま言葉が出なくなってしまった。2分間の番組で、残り1分半何も言葉を発しないまま、止まってしまったんです。
── 生放送で、なかなか緊迫した感じですね…。
西山さん:私の技術がたりなかったんです。ただ、球場の歓声も凄くて「ワー!!」という声にかき消されたと思いたいような…、もう言い訳にしかならない。放送事故レベルですね。
結局、放送が中継席から実況席に変わった瞬間に、私はその場にいたスタッフから変わるように言われて。試合が終わるまで、私はずっと横で立ってました。その間、誰も何も触れず。
── どう乗りきったのでしょうか?
西山さん:優しいスタッフが「次、同じことをやったら外すからな」と叱りつつも、もう一度チャンスをくれました。そのスタッフには今でも本当に感謝してますし、彼がいなかったら、今の私はいません。
そこからは、もう毎日毎日練習!「どんな展開になってもしゃべれるようにしないと!」と思って、ひたすらナイター中継を見て練習しました。おかげで、次の放送時にはきちんとお伝えすることができました。
── 失敗してもさらにパワーアップして。
西山さん:ほかにも、5年ほど前から初めて駅伝中継を担当することになったんです。ランナーが自分の目の前を駆け抜けていくのに5秒もなくて、その間にきっちり学校名と名前を言って、あとひと言、取材した内容も伝えるんです。
でも、後から録画を見直してみたら、ちょっと聞きにくかったり、内容がクリアではなかった場面もありました。改めて滑舌の練習を一からしなきゃ、と思い直しましたね。勉強はずっと続きます。