大人が抱えやすいモヤモヤについて、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は、営業の仕事でクタクタになって帰ってきても、スポーツをやっている娘にだけマッサージをする夫に対し、「かまってほしい」と悩む女性の相談にお答えします。

【Q】娘にだけマッサージする夫にモヤモヤ…

営業回りの仕事で毎日歩き回っているので、体力的にとても疲れます。家に帰って寝る前に「足が疲れたわ。マッサージして」と夫に言うと、「足に保冷剤を当てたら?」と言われました。でも、スポーツの習い事をしている娘には、娘から「マッサージして」とお願いしなくても、率先してずっとマッサージしています。

 

その様子を恨めしそうに見ていると、「仕方ないだろう、子どもなんだから。もう君は大人なんだから、自分のことは自分でできるでしょ」と言う始末。なんでもかんでも娘を優先しないで、たまには私のこともかまってよと思うのですが、これってわがままでしょうか。

夫婦関係に必要なのは「ギブ&テイク」

まずは営業回りのお仕事、いつもおつかれさまです。肉体的にも精神的にも大変なお仕事だと思います。

 

夫が娘さんだけにずっとマッサージする、ということですが、娘さんの立場からするといいパパさんですね。夫が子育てに無関心で悩む方もたくさんいらっしゃるので、ご主人はとても立派だと思います。

 

でも、妻の立場からすると、ちょっと見え方が変わってきますね。クタクタな状態で足のマッサージをお願いしても、「保冷剤を当てたら?」と一蹴されてしまうとショックですね。営業で疲れているときに「私にもマッサージしてよ…」と思う気持ちは当然のこと。わがままなんかではありません。

 

ただ、親子関係と夫婦関係には大きな違いがあります。

 

ここでいま一度、夫婦の在り方を考えてみましょう。

 

夫婦は元々他人です。だからこそ、長年連れ添った夫婦でさえも、ギブ&テイクの心掛けは大切です。“テイク”の前に“ギブ”する。これ、大事です。つまり、「与えられる」前に「与える」という思いやりです。