養育費や慰謝料の相場を調べてしまう自分がいる

「ただ、私の中で初めて、いろいろな損得勘定がわいてきました。私だけ損するのは許せない、子どもたちに経済的・精神的負荷をかけて損をさせるのは認められない。

 

友人たちも『とれるだけとってさっさと離婚したほうがいい』というんです。これはお金の問題なの?愛情の問題じゃないの?

 

そう思いながらも養育費や慰謝料の相場を調べてしまう自分がいる。たまらなくせつないし、つらいんです」

 

愛する夫の気持ちは自分にはない。自分だけでなく、子どもたちも見捨てられた。その代償が「お金」なのが悲しくてたまらない、とノゾミさんは言います。

 

でも、それしか解決策がないとも思うそう。

 

「結婚って何なんでしょうね。気持ちの整理がつかなくて、まだ結論を出せません。離婚するしか選択はないかもしれないけど、それでいいんだろうかとも思って」

 

目に涙はありません。もう枯れ果てたそうです。代わりに浮かべた、彼女の乾いた自嘲的な表情だけが印象的でした。

 

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里

※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。