東京都昭島市にある助産院の「こもれび家」。助産院ながらお産は扱わず「いつでも、誰でも、ずっと」産前・産後・育児ケアを受けられる助産院です。代表で助産師の高木静さん(40歳)は、母親が産後うつに追いこまれる状況をなんとかしようと、地域の人が気軽に集まり、皆で楽しく育児できる場所を目指しています。
夜中でも朝でも「SOS」は出してもらっていい
まだ夜が明けきらない早朝4時、「こもれび家」助産師の高木さんの携帯電話が鳴りました。
電話の先は「赤ちゃんがひと晩中寝てくれず、つらくて涙が止まらなくて…」と、訴える産後の母親だったといいます。
彼女の話を聞き、「すぐ行くからね」と、高木さんは電話の主のもとへと駆けつけます。
「こもれび家の利用時間は朝9時から夕方17時まで。基本的に相談事のある利用者さんは、その時間内に来ます。でも、“しんどいときは、いつでも連絡して”と伝えてあります。
だから、相談メールはしょっちゅう届きますね。めったにないですが、深夜や早朝に電話がくることも。
状況によっては“日が昇ったら様子を見に行くから待っててね”と伝えるときもあるし、赤ちゃんの状況を聞き、“しばらく様子を見ても大丈夫だと思う。それでも落ち着かなかったらまた連絡して”とアドバイスする場合もあります。
どんな時間でも、連絡をくれるのは本当にありがたいです。ひとりで抱えこまず、ちゃんとSOSを出してくれたんですから。
母親たちは毎日、ギリギリまで頑張っています。心のバランスを崩しかねない彼女たちの支えに、少しでもなれたらと思います」