メスザルたちはネッシンにメロメロ
── ネッシンはどんなリーダーですか。
園長さん:
とにかく群れからの信頼が厚い。オス猿からはもちろん、メスの猿たちからも支持されています。特にメスの実力者であるテントから、絶大な信頼を得ています。テントはいわば婦人会の会長みたいな存在ですね(笑)。ネッシンの背中の毛が薄くなっているのは、守ってもらいたくて、メスたちにしがみつかれて抜けてしまったからです。
ネッシンにはこんなエピソードもあります。
園内の樹木を保護するために電気を流した鉄線を張ってあるフェンスをすり抜けて、赤ちゃん猿が向こう側に落ちてしまったことがありました。母猿はパニックになっているし、他の猿たちも大騒ぎ。私たちスタッフが助けるしかないかと見守っていたら、ネッシンがサッと鉄線を乗り越えて、赤ちゃん猿を助けてやったんです。助けた後も、しばらくの間、パニックが収まるまで赤ちゃん猿を抱いてやっていた。
── かっこいいですね、ネッシン!
園長さん:
普段は縁側にいるおじいちゃんの風情で、近くにやってきた猿の毛づくろいなんかもしてやります。毛づくろいは猿の社会でのコミュニケーション。ちゃんと周りに気づかいをしているんですね。ただ、いざというときにはボスの顔になって群れを守ってくれる。ネッシンはそんなリーダーですね。
── ネッシンが元気なうちにぜひ会いに行きたいです。次のボス候補はいるのですか。
園長さん:
今ネッシンに万が一のことがあったら、ボスの座に着くのはメスのテントではないかと見ています。若いオス猿の中では、テントの息子のトロロが有力かな。猿の世界では、母親に力があると一目おかれます。
ただ、私の推しはハクですね。イケメンで、優しくてメスにも子どもにも穏やかで優しい。特に子どもの扱いが上手なんですよね。よく一緒に遊んだり毛づくろいをしてやったりしています。
ただ、こればかりは猿たちが決めることだからわかりません。ネッシンだって母親の序列はけっして高くなかったし、子どもの頃は目立たない存在でしたから。