濡れる?感じる?全摘後の性生活は大丈夫?

全摘出を選択した場合、その後の性生活が心配な方がいると思います。全摘してもセックスに支障はないのでしょうか?

 

ずばり、全摘出してもセックスはできます!術後、いつから再開しても良いかは医師に確認してください。でも「濡れるの?」「ちゃんと奥も感じるの?」と言ったことは医師にも聞きづらいところ、、実際はどうなのでしょう?

 

「卵巣が残っていれば女性ホルモンは出続けますし、腟分泌液は文字通り腟から分泌されるので、子宮を摘出しても濡れますよ。

 

ただ、子宮を摘出する場合は子宮頸部も一緒に摘出することがほとんどなので、いわゆる『ポルチオスポット』がなくなってしまうと言えます。海外では性生活のQOLを低下させないために子宮頸部を残す手術も行われていますが、日本ではあまり一般的ではありません」

 

不安な方もいると思いますが、ポルチオスポットがなくなってもその他の性感帯は残ります。全摘後も「気持ちの良いセックスができている。まったく問題なし!」という声は患者さんのブログやSNS等で多く確認できます。心配な場合は事前に医師にも確認をとりましょう。

「切らない」選択肢も 納得がいくまで調べることが大切

妊娠を希望する患者さんは適応外となりますが、子宮内膜をマイクロ波で焼いて破壊する「子宮内膜焼灼術(MEA)」という術方もあり、10年前から保険適用されています。

 

まだ一般的な治療とまではいえず、実施できる病院も限られていますが、入院が短くて済む、お腹に傷が残らないなどのメリットがあります。術後におりものが増える、においが気になるといったデメリットも一部報告されていますが、実施している病院に相談してみるのも選択肢の1つです。

 

子宮筋腫に伴う貧血は、倦怠感はもちろんうつ症状の原因になることも…。「つらい症状を我慢しない」「治療する場合はあらゆる選択肢を冷静に検討する」ことが大切です。納得がいく方法を見つけ、健康を取り戻しましょう。

 

PROFILE 槝之浦佳奈医師

独立行政法人国立病院機構 九州医療センター産婦人科医。日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター。子宮内膜症に悩む母親をみて産婦人科医を志した。

 

取材・文/谷岡碧