「手術」を選択する場合「部分摘出」か「全摘」か
対症療法や薬物療法では症状のコントロールが難しい場合、また将来的にコントロールが難しくなると判断される場合には、「手術」のステップに移ります。
【1】将来妊娠を希望する場合
子宮筋腫のみを摘出する「子宮筋腫核出術」を行います。3か月から半年間、GnRHアナログ製剤を投与し、筋腫をできるだけ小さくした上で手術に臨むのが一般的な方法です。
手術は麻酔下で行われるため、もちろんリスクはありますが、つらい症状に悩む女性、または不妊に悩む女性にとっては、問題の根本にアプローチする有効な手段です。筋腫摘出後の出産は帝王切開になるので、医師に確認してください。
【2】妊娠を希望しない場合
子宮の全摘出手術を行います。卵巣は残し子宮のみ摘出します。
「全摘」の誤解を解き メリット冷静に判断を
妊娠を望まず、自然妊娠が難しい年齢の方の場合、全摘出を勧められることが一般的です。「良性の筋腫なのに子宮を全摘するの!?」と驚いてしまうこともあるかもしれません。しかし医療者が全摘出を勧めるのはいくつか理由があると言います。
「女性が子宮を失うことに対する抵抗感や喪失感は多くの医師が理解しています。それでも医師が全摘出を勧めるのは理由があります。1つは、筋腫は再発しやすい特性があるからです。筋腫のみ摘出しても、再発した場合、再度手術が必要になることもあります。もう1つは、部分摘出よりも全摘出の方が手術の出血量が少なくて済むことが多く、身体への負担が少ないのです」
また「全摘」については誤解も多いと言います。
「『全摘すると更年期がきてしまう』と考える方もいますが、卵巣を摘出するわけではないので女性ホルモンは出続けます。
医学的に見れば子宮は赤ちゃんを育てる臓器です。子宮を失ったからと言って”女性性”を失うわけではなく、子どもを希望しない女性にとっては極めて現実的な手段の1つです。
つらい症状から解放され、健やかさを取り戻す方がとても多いので、ぜひ冷静に検討してください」