「様子見」で大丈夫なこともあるのは

子宮筋腫と診断されても「様子見」でOKなのは、貧血もなく、患者さん本人が生理で困っていない場合です。妊娠を望んでいる場合でも、筋腫が不妊症の原因にならないと判断された場合は様子見で大丈夫なことも。

 

「筋腫を抱えたまま妊娠・出産を無事に迎えられる女性は実はたくさんいらっしゃいます。妊娠中は血流の多くが赤ちゃんに向かうので、筋腫が問題にならないケースは多いのです。一方で、妊娠中に筋腫が虚血状態になって痛みを伴う場合があるので、筋腫が大きかったり、トラブルが予想される場合は、手術を勧めることもあります」

 

しかし「様子見」でOKだった筋腫が徐々に大きくなり、生理トラブルが起きるのはよくある話…。子宮筋腫があると診断された場合は、定期的に産婦人科を受診し、急に大きくなっていないか、月経トラブルに繋がりそうな所見はないかを確認することが大切です。

治療は「対症療法」「薬物療法」「手術」の3つ

子宮筋腫に伴い、過多月経や過長月経があり貧血になっている場合、ひどい月経痛に悩まされている場合、不妊の原因になっている場合は治療を行います。つらい症状を我慢し続ける必要はありません。それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で自分に合った治療を選択することが大切です。

 

治療の手段は大きく分けて3つあります。

 

1つ目は「対症療法」。鎮痛剤、鉄剤の服用など、症状を緩和するための治療です。

 

2つ目は「薬物療法」です。(1)低用量ピルを服用する、(2)避妊リングであるミレーナを挿入する、(3)黄体ホルモン剤であるディナゲストを服用する、(4)GnRHアナログ製剤を投与して、エストロゲンの分泌を抑え、子宮筋腫を小さくする、といった方法があります。

 

このうち子宮筋腫の治療として保険適用されているのは(4)GnRHアナログ製剤のみですが、月経困難症や過多月経を併発している場合は(1)〜(3)についても保険適用になります。

 

妊娠を望まない場合は、低用量ピルやミレーナを使うことで、月経量を減らしたり、月経痛を和らげる効果があります。月経トラブルの解消には有効な手段ですが、筋腫そのものを小さくする効果はなく、根本治療にはならない点に留意する必要があります。

 

GnRHアナログ製剤は、エストロゲンの分泌を抑え、子宮筋腫を小さくします。通常、治療を始めると2〜4か月で筋腫は半分ぐらいの大きさになる場合が多いと言われています。

 

「GnRHアナログ製剤は月経が止まるため、貧血が改善しますが、副作用として急激な更年期症状が副作用として現れる方もいます。また骨粗鬆症などのリスクもあるため、連続投与できるのは6か月までと決まっています。

 

閉経直前の患者さんに『逃げ込み療法』として行う場合と、手術前に筋腫を小さくして手術をしやすくするために行う場合があります」