思い出の「カプセルホテル事件」
── PTAに参加されたり、小学校受験を経験されたり、教育にも熱心な印象です。お子さんの進学についても堀井さんの主導だったのですか?
堀井さん:
夫は子どもに対して、どうしてほしいという気持ちはいっさいないようで、判断を子どもに任せるんですね。「好きに生きたらいい」というスタンス。
それに対して、私はなかなかの教育ママでした(笑)。私がカッといきすぎてしまうと、それを夫が修正してくれるというか。
夫婦の価値観を擦り合わせるということではなくて、ただ、よくない状態の私を夫が連れ戻してくれる…という感じだったと思います。
── 『OVER THE SUN』(Ep.6)でも、堀井さんが家出をしてカプセルホテルで暮らしていた話もされていましたね。
堀井さん:
その話ですか…(笑)。あのときも私が家族に対して過熱して、怒ってグジャグジャして…悲劇の主人公ぶってしまったんですよね。
それで夫から「家をちょっと出てみる?」と言われて。たぶん「少し距離を置いて冷静になってこい」という意味だったんだと思います。
夫が用意してくれた素敵なホテルでしばらくはくつろいでいたんですが、「私、何やってるんだ!?」ってハッと我に返りました。
こんなところにいちゃダメだ!と、さびれたカプセルホテルを予約し直して、転々と渡り歩きました。このままじゃ何も変わらないから、自分を追い込まなければ、という気持ちで。
10日ほどカプセルホテルに滞在した頃、日中に家にこっそり着替えを取りに行ったんですが、家がすごくきれいで、いい香りもして…。「あれ?私の存在って何?」ってすごくショックでした。
それまで、家のことも子育ても、全部私がまわしていると思っていたんです。でも、私がいなくても家ってまわるんだ…と気づいて、おかげで冷静になれました。家庭でヒートアップしたときは、ちょっと離れてみるのもいいかもしれません。家族は呆れていましたけど(笑)。
── お子さんは2人とも成人されたそうで、子育てもひと段落ですね。夫婦の関係は変わりましたか?
堀井さん:
子どもが自立して夫婦ですごす時間は増えましたが、それぞれ趣味も違うので、お互い自由にやっています。夫婦でキャンプに行っても、2時間ぐらい何もしゃべらないで薪をくべるような関係です。お互い入ってくる情報や日々影響受けているものがそれぞれ違うので、情報交換したりするのが面白いです。
夫とはもう一心同体というか…。極端な話、違うところに住んでいても、大丈夫なんじゃないかなと思うんです。信頼しきっているので、老後に向けてこうしたいという願望もとくになくて。このままの関係でいたいですね。