今年4月に長年勤めたTBSを退社し、フリーアナウンサーになった堀井美香さん。ジェーン・スーさんと歯に衣着せぬ“おばさん”トークを繰り広げるpodcast番組『OVER THE SUN』が人気を集め、新たなファンを掴んでいます。
番組内でもときどき登場する、家族のエピソードも微笑ましい話ばかり。仲良しのご主人と、しっかり者の長女、マイペースな長男…。そんなお子さんたちも成人を迎え、夫婦の関係に変化はあったのでしょうか。50歳のいま、感じることとは…?(全3回中の2回目)
夫が突然、家事に目覚めて…
── ご主人は仕事が忙しく、お子さんが幼いころはいまで言うワンオペ育児だったとのこと。家事や育児を任されることに、不満はなかったのですか?
堀井さん:
ありがたいことに、夫は私がやっていることにいっさい口出ししない人だったので、むしろ勝手に決められて楽でした。当時の夫は出張も多く、仕事が忙しくて本当に時間がなかった。「いない」「育児しない」が当たり前だったんです。
それに対して「どうして?」となっちゃうと、責めることしかできません。私の場合は、最初からいないものだと思っていたから、たまの休みに夫が子どもと遊んでいると「いい人だな!」なんて。うまいこと自分のなかで、発想の転換ができたなと思っています。
── 時代的にもそういう風潮でしたよね。最近のご主人との関係はどうですか?
堀井さん:
子どもたちが中高生ぐらいになると、夫は仕事が少し落ち着いて時間ができたこともあり突然、家事に目覚めました。もともときっちりした性格で、料理もインテリアもセンスよくやってくれる人なんです。
料理も趣味のひとつでしたが、子どもたちが父親の料理を褒めたことで「極めるぞ」なんて言い始めて、レパートリーも増えました。いまでは洗濯もよくやってくれます。以前は私の下着をたたむことに抵抗があったそうですが(笑)、いまでは日常となりました。
── それまで家事はすべて堀井さんのルールでやっていたんですよね。急に夫が家事を始めると、逆にそれが面倒くさい…というような妻の話もよく聞きますが。
堀井さん:
そうそう(笑)。夫は家事のやり方や仕分け方が几帳面なので、私の家事のやり方について「なんでこうやってたの?」などと言われると、「うるさいなぁ!」ってなりますよね。わが家はあまり話し合いも喧嘩もしないタイプなのですが、一度だけ家事でもめたことがあります。
私の仕事がものすごく忙しい時期だったのですが、ある日曜日の朝に起きたら、きっちり掃除が終わっていて、夫が不機嫌な顔でダイニングに座っていたんですよ。「何で不機嫌なの?」と訊いたら、「いや、掃除とか全然しないんだな〜と思って…」と言われてカチンときて。
「やれる人がやればいいじゃない? いままではずっと私がやってたけど、私何も言わなかったでしょ」と返しました。それ以来、夫はそういう不満をピタリと言わなくなって(笑)。いつのまにか立場が逆転して、「なんで俺だけやってるんだ!?」と思ったんでしょうね。