殻を破るきっかけは“伝説のタイ旅行”

── その葛藤から抜け出せたのはいつ頃でしたか。

 

神山さん:
本当に解き放たれたのは結婚してからです。夫は常にイージーマインドで穏やか。自分のことはすべて夫にさらけだせていますし、性格が正反対な分、見習うところがたくさんあります。私が「どうしよう」となったときも「そんなの大丈夫、大丈夫〜」と言ってくれるので、心が落ち着きます。我が家では“伝説のタイ旅行”と言われるものがあって、そこで完全に自分が解放されましたね。

 

── “伝説のタイ旅行”とはなんですか。

 

神山さん:
タイのサムイ島で友人の結婚式があって、夫と2人で出席しました。滞在中は時間があって暇だったので夫がInstagramを始めて。結婚式の2次会で私がすごく酔っ払ってしまったんですが、その姿を夫が携帯で撮って、投稿したんです。

 

私の無防備な姿を投稿したので、ものすごく怒りました。「何でこんなことするの、お願いだからやめてくれ」と。夫は笑いながら「いいじゃん」って。「まりあは殻を被りすぎているから、それを破るために全国公開する」という夫なりの意図があったみたいなんですけど…。

 

でもそれが本当に許せなくて、結婚解消してやろうかくらいの勢いで泣き叫んで、怒り狂ったのですが消してくれない。でも、「もうなんでもいいや」って思ったら、ものすごく気が楽になったんです。

 

── 周りの方の反応はいかがでしたか。

 

神山さん:
「とんでもないけど大丈夫?」ってメールが来ました。ミス・ユニバースの時から知ってくださっていた方からは「こんな方だとは知りませんでした」とか…。でもこれが本当の素の私で、出してしまったものはしょうがないって。それまで変顔などは家族や友人の前くらいでしかしていなかったので。

 

── その後も変顔などの投稿が続きましたが、事務所的にNGはなかったのですか。

 

神山さん:
ちょうど前の事務所を辞めてフリーで活動していた時期だったので、セーフだったというタイミングでした。と言っても今でも決して投稿するのを許しているわけではないですよ!

夫の小堀ケネスさんと息子、神山さんの笑顔溢れるショット

── でも、これを機にありのままの自分を出せるようになったんですよね。

 

神山さん:
悔しいのでそれのおかげとは思いたくないんですけど。でも、素の状態で外に出られて、自分にはこういう面があるということも出していいんだって思えました。それまでも人と付き合うことは好きだったんですが、どこかで疲れてしまっていたところもあって。それがなくなって楽になりました。もうカッコつけなくていいんだって。

 

最近は投稿がペースダウンしているのですが、最初の頃は動画を作るために、夫は私に隠れてトイレの鍵を閉めて2時間編集していることも。もはやプロ根性です。

 

子どもも生まれて、もしあのまま殻を被った状態で子育てをしていたらものすごくカタブツなお母ちゃんになっていたんだろうなって思います。過去の自分にとっては「なんとかなる、まぁいいや」っていうのは絶対にないことだったんですけど、今となってはまぁいいやの連続で、それでいいと思えるようになりました。

 

PROFILE 神山まりあさん

2011ミス・ユニバース・ジャパングランプリ。2015年に結婚、2016年男児出産。ファッション誌をはじめ、イベントなどで活躍。様々なアパレルブランドとのコラボアイテムも好評を得ている。飾らない明るいキャラクターが魅力で、インスタグラムも人気。

取材・文/内橋明日香 写真提供/神山まりあ