「報連相の不足でトラブルが増えた」と感じる上司に「相談の返答がない、嫌われている…?」と不安になる部下。テレワークが普及してから、こうした職場の課題が増えているようです。解決の糸口となるのが、組織形成で重要視される「心理的安全性」。組織づくりの実践家・原田将嗣さんに聞きました。
リモート環境でチームの仕事力が落ちる原因
「チームの心理的安全性」とは、チームメンバーの誰もが素直な意見や疑問を述べても、安全だと感じられる状態のことです。
ハーバード大学のエドモンドソン教授が1999年に提唱した概念で、生産性の高いチームに欠かせない要素といわれています。
この「心理的安全性」は、コミュニケーションが希薄になりがちなリモートワーク環境下では、チームの力を最大限発揮するために、これまで以上に重要視すべきポイントです。
たとえば、クライアントからの電話の受け答えで戸惑っているチームメンバーがいるとします。
会社で顔を合わせていれば、困っていることに気づいたリーダーや同僚が「大丈夫?」と声をかけることができます。
必要に応じて対処法を教えたり、電話を代わったりすることでトラブル回避もできるかもしれません。
もちろん、心理的安全性が低い職場ではコロナ以前からリーダーの気づかないところで問題が発生する同様のトラブルは起こっていたでしょう。
しかし、テレワークを境に問題がより顕在化し、深刻化していると感じています。
事故を防ぐためにはメンバー一人ひとりが、自分から情報の共有(報連相)をするしかありません。
そのためには部内で発言がしやすいよう、リーダーが率先して心理的安全性を高める言動を増やすことが重要になるのです。