42歳で総合職社員になるも…密かに泣いてばかりの日々
── 42歳のときに、総合職社員になられたそうですね。
谷本さん:
当時でも、評価をしてもらっていると実感できていましたが、働くなかで「もっと成長したい」という思いが大きくなって、総合職社員の試験を受けようと思い立ったんです。
── またしても自分から積極的に行動されたのですね。とはいえ、総合職社員の場合、転勤もあるなど、勤務形態がかなり変わると聞きました。ご家族はどんな反応でしたか?
谷本さん:
夫は子どもが幼い頃から単身赴任だったため、近所の両親に助けてもらっていたのですが、今回は夫も含め、家族みんなが「サポートするよ」と言ってくれたことで覚悟が決まったように思います。
── 総合職社員になった後はどんなお仕事を?
谷本さん:
43歳で店長になりました。当時、担当したのがグランドオープンしたばかりのお店だったので大変でしたし、とにかくお店を成功させなければと必死でした。
でも、気持ちばかりが空回りして、なかなか思うように仕事が進められなくなってしまって。パート時代にできていたことも何もできなくなったように感じて自信がなくなり、逃げ出したくなったこともあります。
そのとき、先輩社員にいろいろと話を聞いてもらうなかで「谷本さんがしていることは間違っていない。だから自分を信じて続けてみたら?」と言ってもらえたことに、すごく励まされました。
今だから言えますが、当時はよく泣いていました。でも、そのうち「苦しくてもがいている時は自分が成長できている証拠」と受け取れるようになり、自然に笑顔でいられるようになったんです。私が笑えるようになるとチームのみんなも笑顔になってくれて。そういう相乗効果を体感したのが大きいと思います。
55歳でコンサルタントに昇格「育児しながら働く選択は間違っていなかった」
── 現在は単身赴任をされているそうですね。
谷本さん:
そうなんです。今年の1月にオペレーションコンサルタントへの昇格でき、いまは兵庫県で働いています。兵庫県内の約60店舗に対して、売り上げや収益、また人材教育の向上を目指してコンサルティングをしています。
── 順調にキャリアを重ねてこられた印象ですが、子育ての両立などがうまくいかず、辞めようと思うことはなかったのですか?
谷本さん:
もちろんあります。特に子どもたちが小さいときは、日々けんかしている様子を見て「私が働いているからでは?」「果たして働くという選択は正しかったのだろうか」と何度も悩みました。
でもあるとき、母親が働いていても働いていなくても、似た状況が起きたかもしれないと考えるようになったんです。以来、「私が働いているからこうなった」と後悔するのはやめようと心に決めました。
子どもたちは、いつも私がやりたいことを応援してくれて、感謝しています。それにふたりとも、社会人になってから日本マクドナルドに入社したんですよ。今はふたりとも別のチャレンジをしていますが、子どもの頃から私の仕事の話を聞いているうちに興味を持ったようで、嬉しかったですね。