時間有給休暇を使ったのは、ママ社員だけではなかった

── 一度は見送ったものの、法律の変更に基づいて、満を持しての導入だったんですね。

 

庄司さん:

現在でも、時間有給休暇制度のヘビーユーザーの半分強は育児世代が占めています。ところが、ふたを開けてみると管理職やマネージャーたちも続々と使い始めました。こうした役職に就く社員は多忙のため、スケジュール的に丸一日休むのが難しいことも多いです。「ちょっと病院に行きたいな」と思っても、無理して仕事をしてしまう人も多かったのです。時間有給休暇制度が導入されてからは、こうした人たちが朝病院に立ち寄ってから出社するケースが増えました。

 

──言われてみると、責任の大きいポジションに就く管理職の人たちこそ、周囲に自分の都合で休みたいとは言い出しにくいかも知れません。制度ができたことで、自身の体調管理もできるようになったのですね。

 

庄司さん:

利用者は育児や介護など特定の理由がある人たちが中心となると思っていたので、この結果は私たちも予想外でした。それまで60%だった社内での有給消化率は、制度導入後は70%前半まで伸びました。私たちが想定していたよりも、社内でのニーズは高かったのです。

 

──皆さん、具体的にはどの時間帯にどんな使い方をすることが多いのでしょうか?通常の1日有給や半日休暇との使い分けも知りたいです。

 

小林さん:

やはり朝に1時間使う人が多いですが、育児世代では1時間も無駄にしたくないからと細かく刻むように使う人もいます。たとえば保護者面談や予防接種などで午前中を休む必要があるときは、「半休全て使うのではなく、2時間だけ時間有給を使う」といった形です。

 

他の制度と組み合わせて使うケースも多いです。時間有給休暇制度を使って昼休みを延長して運転免許証の更新に行く、週末のイベントのために金曜日の勤務を半日休暇+時間有給休暇で早めに切り上げるなど、色々なパターンがあります。それとは逆にどうしても抜けられない仕事がある日に少しだけ出社して、残りは時間有給休暇とするケースもありますね。

 

──制度を組み合わせて自分に合ったスケジュールを組めるのは助かりますね。時間単位での管理だと残有給時間数があやふやになりそうですが、そうした管理はどうされているのでしょうか?

 

庄司さん:

カシオヒューマンシステムズが販売している勤怠管理システムで、残時間数についてはリアルタイムで把握できるようになっています。弊社では4月21日に一斉有給休暇が付与されるため、入社時期によって個人差はありますが、時間有給休暇制度の対象となる有給休暇は5日分です。1時間を8分の1日相当として計算するので、一時間単位なら年間40回、40時間取得できる計算となります。

 

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