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時短勤務でもやりたい仕事に挑戦!ディスコの個人別採算制度「個人Will」が叶えた社員の成長

仕事

2020.10.29

共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

「個人別採算制度『個人Will』でガラリと変わった!ディスコ社員の意識と働き方」でもご紹介したとおり、個人別採算制度「個人Will」の開始によって、ディスコではすべての仕事をみずから選べるという仕組みに変わりました。個人Willが本格スタートした翌年に入社し、結婚、出産を経て、自分で選んだ部署であるWill経営推進室で業務にあたる福井さん(仮名)に、個人Willによる働きやすさについて引き続きお聞きします。

 

 

PROFILE 福井真紀さん(仮名)


株式会社ディスコWill経営推進室所属。2012年に新卒で入社。新入社員が配属されるアプリケーション大学を経て、アプリケーション開発部に配属。2016年に結婚後、2017年に女児を出産。産休。育休を経て復帰する際、自分のライフスタイルに合う部署を探し、自らの意志でWill経営推進室に異動。社内結婚の夫は単身赴任で海外勤務中のため、ワンオペ子育て中。

「Willを支払い、先輩に教えてもらう」ことで生まれた覚悟

——福井さんの入社前年に個人Willが始まったそうですね。戸惑いなどはありませんでしたか。

 

福井さん:

私が入社した2012年は、総合職の新入社員が全員配属されるアプリケーション大学(以下、AP大)という部署が新設された年でした。AP大はディスコの事業に必須のアプリケーション技術(ディスコのコア技術である精密切断・研削・研磨の加工技術)を学ぶ場で、だいたいの場合2〜3年で卒業できるのですが、一定以上のWillを稼ぐなどいくつかの卒業要件があり、それをすべてクリアしないと卒業できない仕組みになっています。

 

当時のAP大では先輩の仕事を手伝うことしかWillを稼ぐ術がなかったのですが、先輩社員たちも「個人Willって何?」という状況だったため、お互い手探り状態で…。でも、「何ごともやってみる前から文句は言わない」ということだけは、自分のなかで決めていました。

 

もうひとつ、「スキルのためのWillの支払いは厭わない」ということも自分に課して、スキルが足りないことはWillを払って先輩に教えてもらい、どんどん挑戦するようにしました。何もできない、何も知らない新人が会社のメイン業務に挑戦できるのも、この制度の良いところだなと感じています。

 

——新入社員が先輩から教えてもらうためにWillを支払うというのは斬新ですね。AP大を卒業した後の配属も自分の希望が考慮されるのでしょうか。

 

福井さん:

卒業後、私はアプリケーション開発部に配属されましたが、これももちろん、自分の意志で選んだ道です。まだ独身だったので、5年目に結婚するまでの間は働き方に何の制約もなく、Willよりも経験値を稼ぎたいと必死に頑張っていました。

 

というのも、「Willを獲得することばかりを追って挑戦から逃げていたら、当面は稼げてもいずれ稼げなくなり、部署内の信頼も獲得できない」と思い至ったからです。優秀な人材になり、価値を創出できるようになったら稼ぎは自然とついてくるもの、と自分に言い聞かせていました。

 

これは、私個人の考えというよりは社長からのメッセージでもあります。そういう社風でもあるので、それにのっとって物事を考えていたという感じです

 

ライフスタイルに合わせて選べる働き方

——個人Willを通して何を目指していくのかが社員に浸透しているからこそ、個人Willが正しい方向で生かされているのですね。結婚・出産してからこの制度があって良かったと感じたことはありますか?

 

福井さん:

“異動の自由”があることには助けられましたね。個人Will開始後のディスコでは、会社からの命令で異動が命じられることはほぼなく、異動先の部署と相思相愛になったら異動が叶います。

 

入社6年目に産休・育休を取得し、復帰した後に現在のWill経営推進室に異動したのも、出産前にいたアプリケーション開発部では出張も残業も多かったので、出産後は同じように働くことができないと考えたからです。

 

共働きの自分のライフスタイルに合う部署を探すなかでWill経営推進室に興味をもち、室長に話を聞いたところ「うちの部署に来る?」という流れになり、異動が叶いました。

 

 

——社員が働き方を自分で選択できる仕組みができあがっているのですね。

 

福井さん:

実際に自分がこの制度を使ったから言えるのですが、「ディスコではキャリアパスを自分で選択できる」というのは、誇張ではないと実感しています。逆に言えば、会社からの異動命令がないので、自分でキャリアパスを描かざるを得ない、自分で考えなければいけない、ということにもなります。

 

——否が応でも社員が自立せざるを得なくなりますね。異動先のWill経営推進室では、どんな働き方を選択しているのでしょうか?

 

福井さん:

時短勤務での部署異動だったので、異動当初は、周りの人に教えてもらう立場でありながらみんなよりも早く帰る…という状況でした。2年経った今でもどうしても部内のメンバーに迷惑をかけることが多いので、その分の感謝や謝罪の気持ちをWillにのせて支払うようにしています。

 

——時短勤務で仲間に支えてもらっている時に、言葉でだけでなくWillという目に見える形で「対価」を支払うことができると、時短勤務者が抱えがちな申し訳なさや後ろめたさも感じなくて済みそうですね。

 

福井さん:

実際私も、そこまで申し訳なさを感じなくて済んでいます。しかも、時短勤務が自分のキャリアアップの足かせにならないどころか、どんな働き方を選択してもさまざまなチャンスがあふれているので、性別や未婚・既婚にかかわらずチャレンジできることが、この制度の良い点だと思っています。

 

——働き方にかかわらずさまざまなチャレンジができるという点について、具体的に教えていただけますか。

 

福井さん:

たとえば、私のように時短社員であっても大きな仕事にチャレンジすることができます。というのも、仕事自体は大きくても、その仕事を細分化して、Willを使って他者に依頼しながら完成させていくことができるからです。

 

時短だからという理由で諦めなくていいので、時短勤務でも自分のやりたいこと、自分らしい働き方ができていると思います。

 

ディスコには、残業時間の長さに応じてWillの人件費が割り増しになる「残業時間課金ルール」という仕組みがあります。長時間労働をしても割に合わないから、各々がライフスタイルに合わせて自分の働き方を考えるきっかけになっています。

 

社有スマホのアプリでは、個人Willの収入と支出が一目瞭然に。

 

社員に根付いた企業理念があってこその個人Will

——これだけ日々の仕事にWillが浸透していると、家庭に戻ってからも家事をWillに換算したくなりそうですが(笑)、そんなことはありませんか。

 

福井さん:

私は社内結婚なので夫も“Willの世界”の住人です。今は海外単身赴任中で一緒には暮らしていないのですが、一緒に暮らしていた時には、「ちょっとゴミ出して来て」と言ったら、冗談で「え、それって何Will?」と聞かれたこともありましたね(笑)。

 

ディスコでは、月額でWillを払って電話当番を決めている部署もあるなど、仕事に対する価値設定が徹底しています。やってもらって当たり前と思っていることにも価値があることを認識できるので、感謝の気持ちが生まれますし、逆に「些細なことでも自分がやっていることには価値がある」という再確認にもつながっています。

 

——主婦が担っている家事を時給や年収に換算するのと同じような効果ですね。ところで、あらゆる面で成果を上げている個人Willですから、導入したいという他の企業も多いのではないでしょうか。

 

福井さん:

社内通貨という意味では、同様の制度を導入している企業はあるようですね。ただ、当社の個人別採算制度は社員の働き方そのものに踏み込んだものです。社内のあらゆるものが値付けされ、個人間で社内通貨がやりとりされる。部署内で収支がランキング化される。そして賞与にも連動する。ここまでやっている企業は聞いたことはないです。

 

ディスコでは、社長が相当強い想いをもってWill制度を推進してきました。それくらいの力と権限がないと、ここまでは実現できないかもしれません。

 

そもそもディスコには、Will以前から「ディスコバリューズ」という企業理念や共通の価値観があります。ディスコのあるべき姿が200を超える項目に渡って明文化されているので、社員は日々あらゆる場面で「これはディスコバリューズ的にはどうなんだろう」と、ディスコバリューズに照らし合わせて判断することが浸透しているのです。目指すべき方向性や価値観が共有されているからこそ、個人Willという自由度の高い仕組みを導入しても、ディスコバリューズから大きく逸脱する振る舞いや行動が起こらないのだと思います。

 

今後は、国内外全拠点でのさらなる個人Willの推進と、ディスコバリューズに基づいたWillリテラシーの向上を引き続き進めていきたいと考えています。

 


 

仕事の価値を明確にし、働き方や自分のキャリアを自由に描ける。そんな働き方をディスコの個人別採算制度が実現させました。まさに“働き方改革の成功事例”と言えるでしょう。今後は、自社に合わせた形で同様の制度を導入する企業が増えていくのではないでしょうか。

 

取材・文/平地紘子

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