業務の効率化を意識して、休業明けも育児と仕事の両立を継続

——育休明け、スムーズに仕事に戻れましたか?

 

坂井さん:

休業明けの初日は「仕事が山積みになっているかな」「スムーズに仕事に戻れるかな」と、不安と緊張でいっぱいでした。こんなに長期間休むのは初めてですからね。でも、意外と自分の机の上はスッキリしていて「自分一人が1か月休んでも、業務は回るんだな」と感じ、安心した気持ち半分、ちょっとさみしい気持ちにもなりました(笑)。

 

部署のメンバーが「おかえり、待ってたよ!」と迎えてくれて、上司からも「1か月の休業を仕事に生かしてほしい」と言われ、仕事モードに切り替えることができました。

 

——現在も継続して担当している家事や育児があれば教えてください。

 

坂井さん:

育休後も、朝のゴミ出しと、保育園の連絡帳の記入は私が継続しています。仕事柄、妻は朝早くに家を出なければいけないので、保育園の送りは私の担当。お迎えは、行ける方が行くことにしています。お互いが仕事の日は、早く帰った方がご飯を準備するようにしています。

 

お迎えから寝かしつけまで、仕事から帰ってからも息つく暇もないですが、一日一日、妻も私もお互いに頑張って、「どっちが偉い」っていうわけではなく、対等な立場で接することができています。

 

——育休を経て、正真正銘の「イクメン」になられたわけですね!休業取得後も家事と育児を積極的に行う上で、仕事面ではどのように工夫されていますか?

 

坂井さん:

時間は無限にない、ということを常に意識しています。積水ハウスの定時は918時ですが、「スライド勤務」が可能なので、現在は基本的には、817時で勤務しています。子どものお迎えに間に合わせるためには、「残業しない」が前提になりますので、業務の効率化は毎日の課題です。

 

朝、子どもを保育園に送って会社に向かい、夕方のお迎えの時間に向けて業務を行う。お尻が決まっているので、効率よく仕事を進めていかなければなりません。先を見越したスケジュール管理がすごく大事で、「その日にやるべきこと」をただこなすだけではなく、一週間、二週間先を見て目標を立て、「今日のお昼までにこの仕事を行う」「突発的な案件が入った時はこの仕事をずらす」など、優先順位を意識しながら業務を行うようになりました。

 

突発的な仕事が入り、対応が難しい時はチームのメンバーに協力をお願いすることもあります。周りの協力を得て、なんとか育児と仕事の両立ができています。

 

——仕事でも家庭でも、さまざまな変化があったようですね。

 

坂井さん:

育児休業を経て、妻から「フィフティ・フィフティで家事や育児をやってもらえるようになった。家事育児の大変さと現状をわかってもらえたことがありがたい」と言われました。今はもう「男性が仕事で、女性が家事・育児」という時代ではないなと、改めて考えさせられました。

 

昔は「仕事があるから家庭を支えられる」って思っていましたが、「家族のために仕事をしている」というマインドになりました。家族が一番。家族がいるから仕事ができるんです。

 

——イクメン休業が導入されて2年が経ちますが、家事と育児への参加について、男性社員の意識の変化を感じますか?

 

坂井さん:

今は子どもが生まれたら男女問わず「育休をとろう」という意識が浸透しているように思います。有給の取得率も上がっているようで、子どもの学校行事などで休みを取っている人も増えています。

 

今後はもっと「一括取得」する人が増えればいいなと思います。1か月、育児と家事に専念することで、一日の流れややるべきことを体に染み込ませることができましたし、妻への理解も深まりました。

 

長い会社員人生の中での、たった一カ月。せっかく会社が用意してくれたこの時間を、仕事を忘れて、思い切り育児と家事に集中し、家族のために、そして自分のために時間を使ってほしいですね。子どもの「今しか見られない成長の過程」を間近で感じてほしいです!これから育休取得を検討する人たちに、「一カ月仕事を離れても、なんとかなる!」と伝えたいです。

 

先が見えなくて不安でも「とりあえずやってみて、都度、軌道修正をする」。これが坂井さんの仕事と育児の両立を叶えたマインド。

 

 

育休取得を経て、家事と育児の大変さを知るだけでなく、その後の仕事の効率化や計画的な業務進行など、好影響も多く実感しているという坂井さん。坂井さんのような育休取得者が今後の良きロールモデルとして、育児と仕事を両立する男性社員の背中を押す存在になっていくはずです。

 

取材・文/佐藤有香