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時間単位の有休取得が父親による育児を後押しする!?

仕事

2019.12.19

子育てしながら働いていると、子どもが体調を崩して急に保育園に迎えに行かなければならなかったり、予防接種を受けるために少し仕事を早く切り上げなければならなかったりすることって、たくさんありますよね。

 

そのたびに有給休暇を使うことになりますが、1時間早く上がれば済むのに、有休が半日単位でしか取得できない企業も。もう少しフレキシブルにできないものか…と感じている人は少なくないのではないでしょうか。

 

実は労使協定を結べば、有休を時間単位で取得できると労働基準法で定められているんです。

1年に5日分が限度にはなりますが、子育て世代はもちろん働く人の多くにとって、時間を有効利用できる制度なのではないでしょうか。

一方、厚生労働省が行った2017年の就労条件総合調査では、この制度を導入している企業は18.7%にとどまっています。

 

導入した企業ではどのように運用され、どういった効果を感じているのでしょうか。

今回CHANTO WEBでは、2015年からこの制度を導入し、子育て支援にも力を入れている花王株式会社の本社を訪問。

人財開発部門D&I推進部の荒川真理子さんに話を聞いてきました!

会社から「育児は夫婦で協力」のメッセージ投げかけ

花王・人財開発部門D&I推進部の荒川真理子さん

──まず、花王ではどのように子育て支援に取り組んでいるか教えてください。

 

荒川さん

育児と仕事の両立支援に関しては、1980年代から女性向けメインでスタートしています。女性の母集団を増やし、就業を継続してもらう、ということですね。その後1990年代から男性の育児参画について意識し始め、2000年代からは男性もターゲットにした取り組みを展開し始めました。

現在は男性女性関係なく、希望する人が主体的に育児に参画できるよう、風土づくりや制度の見直しを行っています。

 

──男女関係なく育児ができる環境というのは、核家族や共働きが増える中で非常に重要だと思います。どんな制度や取り組みがあるのでしょうか?

 

荒川さん

子育て中に使える制度としては、就業の開始・終了時刻を2時間の範囲で繰り下げ・繰り上げることができる時差勤務や短時間勤務、看護のための休暇などがあります。2018年7月からは在宅勤務も可能になりました。

当事者向けには、パパママ社員による懇談会、座談会や仕事と育児の両立に関するセミナーなども開催し、「育児は父親と母親が協力してやるものですよ」というメッセージを投げかけています。

 

──会社から働きかけてもらえると協力を意識するきっかけになりそうですね。特に男性に対してはどのようなアプローチをしていますか?

 

荒川さん

例えば、男性社員からお子さんの出生の届け出があった時点でリーフレットを配って仕事と育児の両立を促しているほか、育児休業については、上司から「いつ取るの?」と取得を前提とした声掛けをお願いするようにしています。

先に紹介した懇談会、座談会やセミナーへの男性の参加も徐々に増えています。「子育ては母親」というイメージで頑張ってきた女性にとっても心強いと思いますし、いい流れだと感じますね。

 

時間単位の有休で働き方のフレキシビリティを

花王・人財開発部門D&I推進部の荒川真理子さん

 

──時間単位で有休を取れる制度も導入されているとのことですが、導入された経緯を教えてください。

 

荒川さん

時間単位での年次有給休暇の取得は、2015年7月に、働き方改革の一環で社員の働き方全体を見直す機運が高まる中で導入されました。同じタイミングで、働く時間帯の柔軟性を高めるために、既に導入していたフレックスタイム制のコアタイム(10:00~15:00)の廃止も行いました。

 

育児支援としてだけではなく、社員全員が「働き方」と「休み方」を考え、有給休暇をより有効活用できるようにフレキシビリティを高めた、というのが趣旨です。育児や看護はもちろん、自分のリフレッシュなど、どんな理由でも取得することができます。

 

2018年の取得実績は1人あたり3.3時間でしたが、徐々に増えています。個々の取得理由は分かりかねますが、もちろん育児のために取得している社員もいます。

 

──子育て中に使える制度とも組み合わせると、色々な状況に対応しやすくなりそうです。

 

荒川さん

家庭の事情は様々ですし、お子さんの年齢によっても必要な制度は変わりますよね。

 

子育て中に使える制度はもちろんですが、時間単位の有休やコアタイムのないフレックスタイム制など、基本的に全社員が使える制度とも合わせて、うまく使いながら働いてもらえればと思っています。

 

私自身も未就学児の子どもが2人いてこの4月に復職したばかりですが、短時間勤務、フレックスタイム、在宅勤務、時間単位の有休、子の看護休暇といった多くの制度が整っていることが凄く心強いです。

 

仕事の進め方見直し 企業にとってメリットも

花王・人財開発部門D&I推進部の荒川真理子さん

──企業として、子育て支援、特に男性の育児参画に力を入れるメリットというのは感じますか?

 

荒川さん

日用品メーカーなので、自身の生活や経験は仕事にも活きるものと感じています。また、社員のみなさんが育児に主体的に取り組むことで、仕事の進め方を見直す機会になると考えています。

 

優先順位を意識したり、メンバーとのコミュニケーションを多くとるようになったり、何かあった場合も円滑に仕事を進められるようなタスクの可視化や体制の見直しを行ったりすることにつながり、仕事にも良い影響があるのではないでしょうか。

 

──時間単位の有休が広まらない背景のひとつとして、「数時間ずつの休みを取られると、業務の効率化を損なう」といった意見もあるようなのですが、導入した企業としてはどう感じますか?

 

荒川さん

規定人数で必ず行わなくてはいけない業務など、時間単位の休暇の使用が難しい場合もあるかもしれませんが、そういった職場は限定的だと思っています。

 

効率や業績への影響の細かい部分まで分析はできませんので確かなことは言えませんが、取得している社員からは、より効率的に、メリハリをつけて働くことを意識するようになった、との話も聞いています。そう考えると、生産性はむしろよくなると言ってもいいのではないでしょうか。

 

 

働き方の選択肢が増えることで、より協力して育児に取り組みやすくなりそうです。

 

「時間単位の有休取得で変わった父親意識のリアル」では、時間単位の有休をはじめとする制度を使いながら子育てをしている花王の男性社員2人に、制度を使うようになったきっかけや周囲の反応などについて聞きました!

 

取材・文/小西和香 写真/小林キユウ

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