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SNS10万フォロワー超え!元鈴木さんが今日もコルセットを作る訳

仕事

2020.10.24

女性が経営と育児を両立する——それを実現している一人が、SNSで現在10万フォロワーを誇るコルセットブランド「Enchanted Corset(エンチャッテッド コルセット)」とアパレルブランド「CINEMATIQ (シネマティック) のオーナー、元鈴木さんです。

 

2018年に発売した直後に即完売し、SNSや美容メディアを中心に話題となったのが、女性が日常使いしやすいような新時代のコルセット「Kimberly(キンバリー)」。この開発を手掛け、発売後に第一子の出産も経験された元鈴木さんに、経営者として母として、今どのような日々を送られているのかをインタビューしました。

 

外見への自信が、心の余裕へと繋がっていく

——元鈴木さんといえば、Twitterでは「コルセットの人」として有名です。まず経歴を振り返ってみたいのですが、大学で英語学科を修了されたのち、グラビアアイドルをされたり、ダイニングレストラン・HOOTERSで働かれたりと、ずっと女性の身体にかかわるお仕事をされてこられたのですね。

 

元鈴木さん:

はい。ずっと考えてきたのは、身体というより、「私自身」という商品をどう売り込むかでした。セルフプロデュースと言いますか、どうしたら仕事に繋げられるか?を常に考えていたんです。

 

特に、さっぱり身入りにならない芸能やバイトを全部辞め、派遣のイベントコンパニオンになったときは試行錯誤しました。当時イベコンは世にごまんといて、オーディションにも通らなかったので、審査員に私を覚えててもらうためにはインパクトが必要だと考えたのです。その一手が、コルセットを締めて、非現実的なクビレで視覚に訴えかけることでした。すると、オーディションにもバンバン受かるようになりまして。

 

——そう長きにわたって、元鈴木さんが「美」を追求することのモチベーションはどこに置かれているのでしょうか。

 

元鈴木さん:

利益です!お惣菜屋さんでもいつまでも、「奥さん美人だから特別だよ!」と唐揚げ1つおまけしてほしい……そんな卑しい気持ちを持ちながら、キレイを追求しています(笑)。要は、何かしら生きる上で得をしたいんです。

 

——すごくストレートですね、でも気持ちは分かります(笑)。では、そうして美を追求してきた元鈴木さんの考える「魅力的な女性」とはどんな人物なのでしょうか。

 

元鈴木さん:
魅力的な女性=魅力的な人間、だと思います。素敵だなと感じる人は、もし女性じゃなくても素敵だし、究極、脳みそだけにされても魅力的だと思うんです。

 

つまりは、自分を持っているかどうか。

 

私の場合、コルセットでもお化粧でもファッションでも…、ツールを使って魅力を自覚しやすくなったことで自分に自信ができました。見た目に自信ができると次は、「私は一体どんな人間で、どうなりたいんだろう?」と自分の本質について考える余裕ができたんです。それまで見た目のことだけでいっぱいいっぱいだったのに、自信って、心に余裕を作るんですよね。

 

自分について深く考えるきっかけは人それぞれだと思いますが、私は外見からでしたね。

 

——なるほど、ありがとうございます。そんな女性像を持つ元鈴木さんですが、もともと、コルセットを考案したきっかけとはどのような出来事だったのでしょうか。

 

元鈴木さん:

まず前述のように、イベコンのオーディションに受かるためにコルセットでクビレを作るようになってから、モーターショーを最後に、急に思いたってイベコンを辞めました。私は子供時代には道端に落ちた飴を拾って食べるような子どもで、その後にADHDと診断されていまして。この急に辞めるという決断をした件も、いま考えると診断は正しかったなと思うエピソードなのですが(笑)。

 

そんなときに美容ライターのお話を頂き、当時に着けていたコルセットについての記事を書いたところ、多くの人に読まれました。それは自分の商品ではなく中国製の堅いコルセットでしたので、私のTwitterアカウントには「長すぎる」「骨盤に当たって痛い」「ホックが面倒」など、使った方からの生の声がたくさん集まってきました。

 

その声をもとに、着け心地が良く、ファッションではなく、より下着として優秀なコルセットを日本で作ろうと思ったんです。

 

——完成した時の気持ちは、どのようなものだったでしょうか。

 

元鈴木さん:

「やっと会えたね!」という感じでしたね。ものづくりは”出産”に近いものがあると思います。妊娠中は本当にしんどいけど、産まれた時の喜びと開放感がそっくり。だから今も続けているのかもしれないですね。

 

柔軟な家族の理解が孤独なママ経営者の支えに

——なるほど。ちなみに、コルセットの大ヒット後には、実際に出産も経験されましたよね。経営をしながら育児をすることは、きっと容易くないと思いますが。

 

元鈴木さん:

子育てに余裕ができてきたのは最近です。今年の4月から保育園に入れられるようになって、夫がリモートワークになってからです。それまで1年、昼間は私が見るしかありませんでした。会議中に泣き出す赤ん坊をあやしたり、外部のミーティングに連れて行ったりしながら働いてました。辛すぎて、何回も泣きました。子育てを楽しむ余裕がなくて、楽しそうに笑っている親子を見ると子どもに対して罪悪感を感じることもありました。子どもと楽しく過ごせるようになったのは本当に最近なんです。

 

起業して、かつ子どもを考えている方には、パートナーや周囲のサポートがない場合は相当な覚悟が必要だと思います。経営と母親業という、どちらも自分の代わりがいない仕事を、ダブルでこなすということですから。正直、夫が保育園のことも調べてすべて手続きをしてくれなかったら、私も今どうなっていたか分かりません。経営者って孤独だし、自己責任なんだなと、改めて子どもを産んで実感しました。

 

——大変な苦労が伝わります。そんな現在の元鈴木さんのタイムスケジュールはどんな流れなのでしょうか。

 

元鈴木さん:

平日は朝7時半〜8時に起き、娘に食事をさせて、夫に保育園に連れて行ってもらいます。時間通りに動くことが非常に苦手なため、送り迎えは夫が担当です。身支度をして、気分が乗ればコルセットをして、乗らなければせずにいます。会社には週3で出社し、着画を撮ったりサンプルチェックしたり商品企画やマーケを練ったりしてたらあっという間に夕方です。

 

帰宅は夜7時〜9時。夕食を済ませて娘をお風呂に入れたり、映画を観たりして、0時に入浴して1時〜2時に寝ています。

 

——パパと支え合いながらも、やはりハードな日々を送られているんですね。では、ママとしての役割も持つ一人の経営者として、日本での「女性の活躍」について、現状で思われることはあるでしょうか。

 

元鈴木さん:

そうですね、子育ての負担が女性にばかり大きいうちは、正直なところ難しいと思っています。同時に、「子どもを男があやしても泣くからやっぱり子育ては女じゃないと」とか言う人がたまーにいますけど、性別で役割は分けられないとも思っています。

 

なぜなら、私の夫は現役のアメフト選手で、ボールをいつも扱っているせいか抱っこにも非常に安定感があるんです。さらに子どもとコミュニケーションを取るのが私よりもかなり上手。なのでパパから私に抱っこを代ろうとすると必ず泣かれます。パパの方が楽しいし快適なんだなって(笑)。

 

だから、子育ては性別で向き不向きは分けられないものだと改めて思いましたし、私がいま働けているのは、家事育児を主体的にこなす夫がいるからです。

 

さらにシングルマザーなら、もっと家事や育児を代行するサービスを気軽に使える環境が必要ですよね。たとえ離婚をしても、一人で十分に子供を育てられるサポートがある国にならないと、女性は活躍したくてもできないんじゃないでしょうか。

 

——やはりまだまだ課題はありますね。では、そうして起業や出産など大きなライフイベントを体験された元鈴木さんが「いま商品開発や経営に興味がある」という女性にアドバイスするとしたらどのようなことでしょうか。

 

元鈴木さん:

商品開発に関して言えば「どんなお客様が使うか?」を細かく考えてものづくりをすれば、間違いないです。お客様の1日を、細かく想像できるくらい考えるのです。逆に、想定が甘い商品は売れません。

 

経営は、1人で何でもやろうと思わないこと。私のような発達障害なら特にそうです。できない事は無理してがんばらずに、他のできる人に対価を払って任せるほうが、効率が良いです。会社は人間の集まりなので、それができる場所です!

 

——ありがとうございます。今後、新しい企画や取り組みはなにか考えていらっしゃいますか?

 

元鈴木さん:

コルセットの枠を飛び出して、アパレルブランド「CINEMATIQ」から今月9日より「500mlペット ボトルが入るマジカルポケット付き」という実用的かつドラマティックなスカートやワンピースなどの販売をスタートしました。

 

私が目指すのは、これからも女性の人生を充実させられるようなプロダクトを作りつづけること。子育てを楽しみながら、仕事にもより邁進していきたいと思います。

 

PROFILE 元鈴木さん

株式会社Alyo代表取締役。2018年、「Enchanted Corset」のコルセットがSNSで大きな話題に。くびれやバストアップなどのボディメイクに定評があり、日々Twitterでも美容情報などを発信している。

 

文/韓 奈侑

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