住宅ローンの借り換えで固定費を節約!

最後に③の「住宅ローンの借り換え」についてです。 最初に高い金利で住宅ローンを組んで、そのままにしている場合、借り換えた方がお得になる可能性があります。ただし、ローンの借り換えには手数料や税金などの諸費用がかかるため、単純に金利差だけで借り換えを行うとたいしてメリットがなかったり、逆に損をしてしまうことも。風呂内さんによると、「ローンの残高1,000万円以上、残りのローンの期間10年以上、借り換え後の金利差が1%以上」という3つの条件を満たしている場合は借り換えを検討したほうがいいそうです。

 

住宅ローンについては、繰上げ返済についても検討する人が多いと思います。繰上げ返済したほうが利子で支払う分を抑えられるため、総額が減らせてお得!と思われがちですが、実はそうとも限りません。というのも、住宅ローンを組むと通称「住宅ローン減税」が適用されるためです。住宅ローン減税とは「住宅借入金等特別控除*」のことですが、これは最初の10年間、借入金年末残高の1%が所得税から控除されるというもの。なお、所得税から控除しきれない額は、住民税からも一定額まで控除されます。*増税後は、最大控除額(年間)は40万円(認定住宅は50万円)、消費税増税後は13年間に延長される予定。 つまり、住宅ローンの金利にもよりますが、金利が1%を切っている場合は、支払う金額よりも減税される金額のほうが大きくなるので、基本スタンスとしては10年間は放っておいて、11年目から繰上げ返済をしたほうがいいということになります。

 

「手元に現金があると使ってしまうという人は繰上げ返済をしたほうが結果的にはいいのかもしれませんが、そもそも住宅ローンは先にお金を準備しなくても家に住めるっていう大きなメリットを手にするために組むもの。繰上げ返済することで、そのメリットをみすみす手放すという行為をそんなに急いでやらないといけないのかということもよく考えたほうがいいですね」と風呂内さん。先々必要になる現金のことも考えた上で、自分にとっていいタイミングで繰上げ返済を検討するのがよさそうです。

 

次回は、変動費の節約法についてお伝えします。

 

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PROFILE 風呂内亜矢(ふろうち あや)


1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員、一般社団法人みんなで作る良い行政サービス協会 主任研究員。大手電機メーカー系SIer、マンションの販売会社勤務を経て2013年にファイナンシャルプランナーとして独立。現在、テレビやラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。著書に『その節約はキケンです—お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか—(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』などがある。

 

文/田川志乃 イラスト/加藤淳一