もし、自分が病気になったら

では、自分が病気になったらどうでしょう。この場合も、退職は最後の手段と考えておくべきです。通院や入院のために出社できなくなっても、会社員であればまずは有給休暇を利用することができるので、収入は確保されます。

 

療養が長引いた場合には、社会保険の健康保険に加入しているので、傷病手当金を受け取れます。傷病手当金は、連続して3日会社を休んだ場合に4日目から給付が開始され、最長1年6カ月支給されます(給料の約3分の2を支給)。もしも退職することになった場合でも、一定の条件を満たしている場合は傷病手当金を引き続き受け取れる場合があります。

 

仮に療養後に転職したいと思っても定期的な通院が必要などの理由で、就職先を見つけることが難しくなるケースが少なくありません。会社を辞めずにいれば、療養後の復帰も慣れた仕事ですからスムースではないでしょうか。

 

がんなどの病気が見つかったことをきっかけに退職する人もいますが、医療の技術は日進月歩。仕事に復帰するようになることは珍しいことではありません。主治医や信頼できる人と相談しながら、後悔しない選択をして欲しいと思います。

やりたいことがあるなら、準備は周到に

早期退職を考える理由が、「やりたいことが他にある」場合は、やりがいや生きがいとともに経済的な準備は周到にしておきましょう。その際、楽観的な見通しは禁物です。「厳しすぎるかな」と思うくらいに考えておくことで、予想外の事態にも対応できるでしょう。

 

最低限、用意しておきたいお金は、半年分の生活費と緊急予備資金です。やりたいことをするには、収入の金額は二の次になる場合もあります。そんな状況でも夢を追いかけられるのは、資金の準備があるからこそと言えるでしょう。

 

早期退職は、人生を大きく変える決断になるかもしれません。お金の不安をなくすことが、冷静な判断につながるでしょう。

 

文/タケイ啓子