早期退職の理想と現実 

コロナ禍の業績不振により、勤務先が早期退職者を募集する場合があります。このケースで早期退職した場合は、退職金が割増になったり、会社都合の退職になって失業保険の支給日が早まったりします。

 

まとまった退職金が受け取れるとなると気が大きくなり、マネープランは後回しにしてしまいやすいのですが、そんな時こそ計画を立てることが大切です。退職後にどのような暮らしをしたいのか、再就職をするべきなのか、再就職するならタイムリミットはいつなのかなど、決めておくことで時間やお金を有意義に使うことができます。

 

早期退職で地方移住 安易な考えは要注意 

 

早期退職は、転居をきっかけに考える人もいるかもしれません。コロナ禍でテレワーク中心になった会社が増えました。出社しなくても仕事ができる環境が整ったため、家賃の高い都心ではなく、安くて広い家に住むことができる郊外への転居を実行する人が増えています。

 

郊外であれば、家賃をはじめとした物価が抑えられると考えられますが、だからといって安易にパートナーのどちらかが退職するのは要注意です。通信費や自動車関連費用など、都心とは異なる出費がかさむ場合もあります。

 

まずは転居先での生活にどの程度の費用がかかるか見極めることが必要。そのうえで早期退職をしてもムリのない家計になるか慎重に計算してからの決断が安心です。

 

介護退職は本当に必要?自分だけで抱えないで

もしも親が介護状態になったら、世話のために退職するしかないのでしょうか? 結論から言えば退職する必要はありません。働きながら介護をする人の増加に伴って公的な支援制度が整ってきているので、制度を利用して仕事を辞めずに介護もできるからです。

 

介護休業制度は、会社に申し出れば通算93日まで休みがとれ、その間は雇用保険から給与の約3分の2の金額が給付金として受け取れます。ただし、介護休業給付は介護休業終了後には職場復帰を前提としています。そのため、介護休業当初から退職を予定しているのであれば、給付の対象にはなりません。

 

早期退職した後、会社勤務などをしなければ自分自身の年金が厚生年金ではなく国民年金になるため、老後の公的年金が少なくなります。親の介護が終わった頃にふと気がつくと、老齢年金は少なくなり、貯蓄は底をついて再就職も難しい、といった現実に直面することは避けたいですね。親の介護は大変ですが、自分の老後資金のことも忘れてはいけません。