避難所での感染を引き起こす要因
避難所はなぜ、感染症を流行させる可能性が高いのでしょうか。その理由には、新型コロナウィルス肺炎のニュースでもたびたび出てくる「クラスター感染」というワードが関係しています。 クラスターとは、「集団」を指します。つまりクラスター感染とは「集団感染」という意味。これは、感染症のウィルスを保菌する人が集団に入ることで、集団の中において感染が広まっていくことをいいます。 これを前提に考えると「災害から逃れている人が集まる避難所」、という集団環境において、感性症が広まっていく様は想像できるのではないでしょうか。 では具体的にどのような場面において、感染症が広まるリスクがあるのか、確認していきましょう。
<トイレや水道などの水回り>
トイレに行く、手を洗う、といった水回り環境における行動は、生活において当たり前に発生します。そして、こういった水回りは、感染予防のため、清潔を心がけているお宅も多いことでしょう。 しかしそれが、避難所での共同生活となると、どうでしょうか。蛇口をひねる、トイレの水を流す、そういった動作の中で、不特定多数の人が触れることで感染リスクが高まる要因になります。
特にトイレは、公衆トイレ同様に、複数の人が使うことで短時間でも汚れてしまうことが考えられます。使用人数に対して清掃が追い付かず、不衛生になることもあるでしょう。 さらにこうした不衛生な環境が続くと、細菌が繁殖します。そしてこの環境化にある蛇口や、トイレの洗浄ハンドルを人が触れることにより、胃腸炎が流行する可能性が高まります。 また不衛生なトイレを使いたくないと、排尿を我慢して膀胱炎になってしまったり、水分を摂らず脱水症状になってしまったりという危険性も考えられるでしょう。
<栄養不足による免疫力低下や食中毒>
避難所生活では、十分な食事が提供されにくい環境にありますので、次のような問題も起こりうるのです。
●栄養不足による免疫力の低下
●十分に調理されていない食材の摂取
●適切な保存がされていない食品の摂取
こういった食生活環境は、感染症や食中毒を引き起こす要因になることでしょう。 また災害時には避難所に関わらず、薬の不足も感染症をはじめとする病状を悪化させる要因になると考えられます。避難用バックには常備薬の準備も忘れないでくださいね。