2019.04.03
2019.12.01
パパに捧ぐ映画もご紹介したい!
CHANTO読者のみなさん、こんにちは。桜満開!気持ちのいい春ですね。
子どもたちも気持ちよく外で遊べる季節がやってきますね。
ところで、わたくし瀧川、ここでは映画コメンテーターですが、普段は俳優業もやっております。4月1日よりBSフジで始まる「警視庁捜査資料管理室」(毎週月曜夜11時~)では、なんと主役を務めております!
…と、ご報告と告知はこれくらいにして。
ここしばらく、朝から晩までひたすら撮影でしたから…息子と嫁となかなか会えない日々。父親として、しっかり働いて家族を守らないといけない。とはいえ、こんなに会えないのはどうなのよ?と申し訳ない気持ちで過ごしておりました。
そんな時、思い出す映画があります。
ぶっ飛んだ父親が大家族を守る為に奮闘するあの映画。そう、今回は「ママに捧ぐ映画」でありながら、僕から「パパに捧ぐ映画」です。ぜひ、世のパパさんも一緒にご覧いただきたい映画なのです!
<一つ前の作品に戻る> 父親のDV、母との死別…壮絶な過去を背負った女性が1600km歩いて辿り着いた答え
赤ペン瀧川のママ(&パパ)に捧ぐ映画
第17回 マット・ロス監督作品
『はじまりへの旅』
日本では2017年に公開された映画です。主演はヴィゴ・モーテンセン。この作品でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。ちなみに今年のアカデミー賞で作品賞を獲った「グリーンブック」でも主演を務め、アカデミー賞主演男優賞にもノミネート。ガッツリ実力派の俳優さんです。
彼が今作で演じるのは“ちょっと変わったパパ”。アメリカ社会に嫌気がさし、6人の子どもたちと森の中で自給自足の生活を送っています。10年間もの間、森で生活をしながらサバイバル技術を叩き込み、肉体を鍛え上げ、本を読んで勉強し、肉体的にも精神的にもとっても強い子どもたちに育て上げました。
▲パパの熱血指導により6人の子ども全員が秀才です。
でも、あれ?
ママはどうしてるの?
ママは病気で入院していました。ある日、街に降りたパパがママの病状を聞くために妹に電話すると…ママが自殺してしまったことを伝えてきました。なんということでしょう…。この映画、ママが出てきません。でも心配しないで、ママの存在感はとっても感じられる映画です。
子どもたちにその悲しい事実を伝えると「お葬式に行く」と言います。しかし、森での生活をよく思っていなかった義父は「原因は君にある!」と参列を許してくれません。「もし葬式に来るなら警察に連絡し、その場で逮捕する」とまで言う始末。父親として、今の生活を守るためにはお葬式に行くべきではない。しかし子どもたちは断固、お葬式に行くと言って聞きません。「ママに会いたい!」「ママを救え!」と。
▲仏教徒だったママは火葬を望んでいました。しかし、このまま義父にお葬式を任せると土葬されてしまいます。
父親は決意します。何としても妻の遺体を奪還し、火葬する!
お父さんと6人の子どもたちは「戦闘開始だ!」と意気込んで街に乗り込みます。
設定はコメディなのに…涙が止まらない!
10年間も森で暮らしていた変わり者で、一家全員が秀才の家族が現代社会に繰り出します。そりゃもう、完全に珍道中です。森からお葬式が行われる場所までの距離は2400㎞。大型バスで爆走しながら色々な場所でトラブルを巻き起こします。
▲レストランに入れば「まともな食い物がない!」と店を出るし、
放牧されている羊を「弓で射止めろ!」と子どもに指示を出すし、
スーパーで大量の食料を盗み出すし…めちゃくちゃです。
親族からは、その行き過ぎた教育方針を責められまくります。「ちゃんとした学校に通わせて!」「子どもたちの将来を踏みにじるの!?」とボロカスに言われますが、パパは一向に耳を傾けません。全くブレない信念を持って子どもに向き合っています。清々しいほどに真っ直ぐで一途です。
ただ…現代社会には全く馴染めません。これでいいんだろうか…パパ、気持ちは分かりますけど…現代社会において“鹿を殺す技術”とかいるかなぁ…。映画の中だから笑っていられますけど、実際、子どもに対する教育ってめちゃくちゃ難しいですよね。何をどこまで教えるか。
▲この映画に登場する6人の子どもたちは現代社会から浮きまくってます。
森で暮らすことで強くなった。しかし、社会というものは社会の中でしか学べない。
この旅でそれを痛感していきます。
そんな時、父親はどうあるべきなのか?
妻と子どもを愛し、全身全霊をかけて守り、育ててきた父親のこれまでの苦労が現代社会に踏みにじられていきます。コメディじゃないのか…笑っちゃうけど笑ってる場合じゃない展開から目が離せません。
子どもたちの愛で、ママを救う
この映画において、ママの存在はとても大きいです。画面上には現れませんが、子どもたちはママの話をたくさんします。如何に愛しているか。如何に愛されていたか。このママの存在の大きさったら!
エピソードが子どもたちの口から溢れる度、胸が締め付けられます。ただ、やろうとしていることは「ママの遺体を強奪して火葬する」という無茶なことなんですけど。なぜだか物凄く応援してしまいます。ママが登場しないのにママの偉大さが子どもたちの言葉から伝わって来るってすごいことですよ…
子どもたちに残せるモノは何か? なんて普段の生活を続けているとしっかり考える余裕がないですが、この映画はそんなことを考えさせてくれます。一生懸命に子どもと接し、子どもの未来のために何をすべきか。この映画に登場するパパはたくさんの間違いを犯してきたことに気がつきます。
▲でも、果たしてそれは間違いなのか? その答えは子どもたちが教えてくれます。
全国のパパさん、一緒にがんばりましょう!
子どものために!と躍起になることってあると思います。僕も「こんな子になって欲しい!」とか「あんな子にはなって欲しくない!」など自分なりの教育論を持って接しているつもりです。
でも、それが正しいかと言われるとちょっと自信がないですよね…それは妻との間にも温度差があったり、祖父母から色々と言われる事もあるし…自分が正しいと思っていた教育論が揺らぐ瞬間ってあると思います。
さあ、そんな時、この映画を観てみて欲しいんです。
迷った時は柔軟に、少し冷静に立ち止まって子どもたちを見つめる時間が必要なのかも知れません。子どもは成長し、自分の目で見て自分の心で感じながら色々と選択して生きて行くからです。正しいと思ったことを教えて教育していくことも大切だと思いますが、子どもを信じて成長を見守る事もまた大切なのだと思います。
そう、迷ったら、この映画を観て、立ち止まってまた考える。それが、今僕が出している答えです。忙しくて大変なときもあるけれど、全国のパパさん、一緒にがんばりましょうね!
▲ドラマのクランクアップの打ち上げにも参加した息子・晴太朗。パパの働く姿を見せられるのは嬉しい。それに、豪華なピザに大喜び!
[DVD Info]
『はじまりへの旅』
監督:マット・ロス/キャスト:ヴィゴ・モーテンセン/価格:DVD発売中 3800円+税/発売・販売元:松竹
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