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「フキハラ夫」に大迷惑。話し合おうともせず、察しろなんてムリ!

コミュニケーション

2021.03.23

夫のフキハラに悩む妻

最近、「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」という言葉をよく耳にします。細分化していますが、ある種のモラルハラスメントで職場や友人間でも「今日、あの人、機嫌悪いね」ということがあるのではないでしょうか。不機嫌なまま人と接するのは、大人としてどうなんだろうという声も聞かれます。

不機嫌な朝はおはよう行ってきますも言わない

「うちの夫です、不機嫌大王だから(笑)」。そういうのはメグミさん(仮名=以下同・44歳)です。結婚12年、3歳年上の夫との間に10歳と7歳の子がいます。

 

「いつ頃からかはっきりしないんですが、夫の機嫌を伺うのが私の日課になってしまいました」

 

メグミさんの記憶によれば、子どもが幼い頃ではないかということです。上の子が病弱だったこともあり、共働きの予定だったのに彼女は退職せざるをえませんでした。夫はそれをいいことに、共働き時代に決めた家事育児の分担を「サボる」ようになったそう。そこからいざこざが起こり、夫がキレたことがありました。

 

「お互いにキレて、取っ組み合いのケンカみたいになって。そうしたら夫が、『女のくせに男にたてつくな』と言ったんですよ。私、その言い方が本当にイヤだったし、傷ついて。その後じゃないかなぁ、夫が言葉を発するより先に不機嫌オーラを出すようになったのは

 

不機嫌なときは朝起きても「おはよう」すら言わない夫。もちろん、「行ってきます」も「ただいま」も言いません。

 

「それでも私は、おはようを言い続けています。答えてくれたときは機嫌がいいときなので、子どもたちの学校のことなど事務的なことを一気に伝えます」

 

おそらく、夫はケンカをしたくないのだろうとメグミさんは言います。険悪になるのが嫌だから、言葉を発しない。でも、それは彼女にとっては単なる「不機嫌」にしか見えないのです。

「オレと娘のどっちが大事なんだ!」とキレる夫

「いつ地雷を踏むかわからないんですよね」。結婚して10年。6歳のひとり娘を抱える主婦のヒサコさん(37歳)も、夫への対応に苦慮しているひとり。

 

「ちょっとしたひと言で怒り出すことがあるんです。もともと機嫌が悪いタイミングなんでしょうね、そこへ私のひと言がきっかけになって爆発するんだと思います」

 

以前は会話の多い夫婦でした。数年前、夫が帰宅して食卓についたとき、ヒサコさんはちょうど子どもをお風呂に入れて寝かそうとしていたところ。ちょっと待ってねと言うと、夫はいきなり激怒したそうです。

 

子どもとオレとどっちが大事なんだ!と怒鳴られて。私にとって本当に大事なのは子どもですけど、そうも言えない。ぐずる娘をリビングに座らせたまま、料理を温めたりしていると、夫はプイと寝室に入って、そのまま出てきませんでした」

 

それから2週間、夫はひと言も言葉を発さなかったといいます。ドアを閉めるのもバタンと大きな音をさせ、カップを置くにも無造作に音を立てる。子どもが怖がり、そのときは「いいかげんにしてください」と手紙を書いたそう。

 

「不機嫌を丸出しにするのって、たとえ家族であってもルール違反だと思うんですよ。あとから、その日、夫は異動の内示が出て、異動先が不本意な部署だったので落ち込んでいたことがわかりました」

 

それならそのときに言ってくれればいいのに、と妻側は思います。ただ、夫からすると、「生々しい感情を妻にはぶつけたくない」気持ちもあるようです。特に異動や仕事のミスなどで気持ちが沈んでいるときはなおさら。その一件があってから、ヒサコさんは帰宅直後の夫の顔を観察するようになりました。

 

お帰りなさいと言って夫の様子を見ながら、今日の機嫌を図る。ふーって、ため息をついたり、なんとなく部屋を見渡したりしているときはご機嫌が悪いことが多く、そっと食事を出します。気を遣うのは疲れるけど、経済的に夫が頼りになっているコンプレックスが私にはあるんですよね」

お金を稼ぐほうが偉いわけじゃないのに

夫は覚えていないようなのですが、結婚後、なかなか子どもができなかったので不妊治療のため、ヒサコさんは仕事を辞めました。やっと子どもに恵まれ、あるとき夫に「手伝って」と言ったら、夫はポツリと、「オレと同じ収入があったら、オレはおまえの言うことを聞くけどね」と言ったそうです。そのひと言が、彼女の大きな心の傷とコンプレックスになっているのです。

 

「夫のお金で私と娘は生活している。夫はそう私に刷り込みをしたんです。そういう人を夫にしている自分が情けないけれど、今は娘のために争わずにやっていくしかありません」

 

夫婦といえども、言ってはいけない言葉があります。経済的に優位に立っているから妻を下に見ていいということにはなりません。そこから夫婦間に見えない亀裂が入っていきます。

 

「私自身が傷ついたことをちゃんと説明して夫にも考えてもらいたいとは思うんです。でも、どういう展開になるか予測がつきます。これ以上、傷つきたくないんです

 

頑張ってとも、我慢しないでとも、他人からは言えません。夫が改心するような状態になればいいのですが…。

夫のフキハラに悩む妻

稼ぐことで優位に立とうとする夫

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。

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